老後2000万円不足問題とiDeCo加入

  1. 財務大臣が報告書を受け取り拒否
  2. ネット証券の口座開設数が増えた?
  3. 始める前によく考えよう

財務大臣が報告書を受け取り拒否

何度か取り上げているように、5月22日に金融庁の審議会が示した「老後の生活のために2000万円の資産形成を」という提案は、広い範囲で大きな話題となり不安をひきおこした。

反響が思いのほか大きかったためか、麻生財務大臣は参議院選を前に6月11日、「この報告書は受け取らない」とまで言い出した。

さらにその後、この報告書の作成にかかわった官僚が退任したことが判明し、この報告書が問題になったからではないかと取りざたされている。

しかし、この報告書は、厚労省などの資料をもとにファイナンシャルプランナーその他の有識者が集まって協議を重ね出されたものであって、その当初の目的は個人型の確定拠出年金「iDeCo」や「つみたてNISA」などを使った、若い時からの長期・分散・積み立て投資へと個人の資産を導くためのものだった。

ネット証券の口座開設数が増えた?

それ以降、雑誌やネットなどで「老後2000万円不足問題」の記事が多くなり、実際にネット証券の口座開設申し込み数が増えたというニュースも流れている。

また7月29日には、厚生労働省は全会社員を対象に、希望すればiDeCoに入れるように基準を緩める検討に入った、と報じられている。

麻生財務大臣の受け取り拒否とは裏腹に、この報告書はたしかに、iDeCoやつみたてNISAなどへの関心を呼び覚ます役割を果たしたようで、本来の目的は達成されたと言っていいだろう。

「老後のお金のこと、ちゃんと考えないと」などという会話があなたの耳にも入ってきたりするのではないだろうか。

始める前によく考えよう

だが、急いでiDeCoを始める前に、いくつか確認しておいた方がいい。

  1. IDeCoは管理手数料が必要
    ⇒今のところ管理手数料無料の証券会社もあるが、ずっと無料かどうかは保証がない。
  2. 原則として途中解約ができず60歳まで引き出せない
    ⇒定期預金などとは性質が違うので慎重に。
  3. 政府は確定給付型年金(もらえる額があらかじめ決まっている制度)から、確定拠出型年金(自分でいくら出したかいくら運用益が出たかでもらえる額が決まる制度)に移行したがっている。
    ⇒これは金持ち父さんシリーズでロバート・キヨサキが繰り返し言っていること。
  4. 資金の運用は定期預金か保険、投資信託で行われる
    ⇒はたしてその節税効果とあわせて、どのくらいの運用益が出るのか。

いずれにしろ、キヨサキが言うように、投資する前にまずお金について学ぶことが大事だ。