参政党はどこまで議席を伸ばすのか

  1. 「日本人ファースト」を検証する
  2. スパイ防止法は治安維持法?
  3. いずれ自民党とひとつになる

「日本人ファースト」を検証する

参院選が近づき参政党の支持率が伸びているということで、マスコミは当初その勢いに注目して報じていたが、少しずつその実態に迫り始めているようだ。

「日本人ファースト」という参政党選挙ポスターのキャッチフレーズを取り上げたのが、7月13日のTBS「報道特集」だ。

このフレーズを力強くて魅力的だと感じる有権者もいるのだろうが、逆に自分の存在を脅かされたとショックを受ける外国人や外国ルーツの日本人も間違いなくいる。

今回の選挙では、各党が「外国人政策」「外国人優遇問題」を争点のひとつに掲げているため、あたかも何か大きな問題が起こっているように思わされてしまう。

だが、よく言われている外国人犯罪者数の増加、外国人の生活保護の増加といったことは、統計を確認すれば実際には起きていないことがわかってくる。

一方で、選挙候補者や政治家がこうしたことを取り上げてヘイトスピーチと言えるような内容を政見放送で流し街頭演説でも話すことが増えたため、一般市民がそれにスタンディングなどで抗議する動きがあると「報道特集」は報じた。

いまや日本が、外国人差別が票になる社会、政治家が外国人差別で票をかせぐ社会になってしまったことは、嘆かわしいとしか言いようがない。

国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」が、複数の政党が排外主義的な主張を掲げていることへの懸念を表明するほどの事態だ。

スパイ防止法は治安維持法?

7月12日には、参政党の神谷代表が街頭演説で治安維持法について「社会の安定を守るために作られた」と肯定的に語ったことが報じられた。

これを、「日本人ファースト」というキャッチフレーズ、彼らが制定を目指すというスパイ防止法、参政党支持者がよく口にする「おまえは日本人か?」「あなた何人(なにじん)?」という問いなどと併せて考えると、見えてくるものがある。

もしも参政党がある程度の権力を握った場合には、外国人や国にとって好ましくないとされた人を監視し、人々の生き方を縛る法律を作り、日本人であっても権力が望んでいる型からはずれた人間は排除していくといった、息苦しい社会になっていくだろうということだ。

悪くすると、戦前の治安維持法が復活したかのような、権力に対して声を上げることのできない状況になっていくかもしれない。

参政党は独自の「創憲案」(憲法改正案)を発表しているが、いちど大日本帝國憲法に戻すとも言っている。また、選択的夫婦別姓には反対で、それによって治安が悪くなると党首討論で言っていた。

参政党が力を持てば、多くの人にとって不自由な、反動的で家父長制的な世界が立ち現れてくることだろう。

すでに候補者の街頭宣伝活動では、参政党支持者による聴衆への暴言や暴力などが散見され、SNSでは証拠となる動画なども流れている。

暴力的な社会にならないことを祈りたい。

いずれ自民党とひとつになる

7月14日になると、神谷代表が街頭演説で「次の解散総選挙で与党入りを目指す」と発言したことが報じられた。つまりは自民党と連立を組むということだろう。

永田町界隈では、「石破続投なら野田立憲との大連立の可能性がある。反石破勢力は高市早苗首班を前提に参政党の連立参加を視野に入れている」といった憶測が流れているという。

その後神谷代表はこの発言を否定したが、昨年の衆院選の際には「自公側の提案が国益を守ることに適うなら、小異を捨てて大同につく。キャスティングボートを握れるなら協力する可能性はある」と言っている。

また、いくつもの自治体ですでに参政党の議員が自民党議員と会派を組んでいることを見ると、何らかの形で自民党とひとつになるのはまず間違いないだろう。

偶然だとは思うが、6月下旬に自民党の旧安倍派が正式に解散したと報道され、その後急速に参政党についての報道が増えたように感じる。

ある有識者が参政党を評して、「一言で言うと安倍晋三+安倍昭恵」だと言ったようだが、つまりは極右+スピリチュアル・オーガニックということだろうか。

いずれにせよ、神谷代表はもともと2012年の衆院選に出馬して落選した安倍チルドレンの一人で、極右とされる杉田水脈氏(自民党前衆議院議員・2025年参議院選挙自民党比例代表候補)とも非常に親しいという立ち位置の人物だ。

調べていくと、今は積極財政を口にしているものの数年前は「消費税減税などできっこない」と鼻で笑っていたようで、公約の子供一人月10万円給付は医療・教育の無償化を止めてその10万円ですべてをまかなうという意味のようだし、高額医療費限度額の引き上げにもOTC類似薬の保険適用除外にも賛成している。

つまりはガチガチの緊縮財政派だと言わざるを得ない。

もっと言えば、法の下の平等も基本的人権も否定し、核武装・徴兵制にも賛成する改憲派である。

それが参政党だということをよく理解した上で、よく考えてあなたの大切な一票を投じてほしい。