国民のほうを向いた政治を

  1. 過去最高の税収80兆円
  2. 消費税減税はどこへ消えた?
  3. 戦争ができる国へ
  4. 紙の健康保険証はまだ有効

過去最高の税収80兆円

今年度の税収が、7年連続で最高となる見通しだという報道が流れた。なんと80兆円台、5年前と比べると約20兆円も増えたという。

しかし一方で、景気がいいという話がほとんど聞こえてこないのはなぜだろう。

2024年度の企業倒産件数が1万件を超えたと聞くし、新米の価格が高止まりしているので輸入米かパスタにするしかない、コンビニのおにぎりが高いので1つだけにした、といった切実な嘆きが流れてくる。

TVでは、不要品の買い取りやリバースモーゲージ(自宅を担保にした借入れ)、タイミー(すきまバイト)のCMばかりが流れ、庶民は「売り食い」「その日暮らし」の状態にあるのかと気付かされる。

景気悪化と物価高騰が続くなか、政府が消費税率を下げることなく税を取り続けるのはなぜだろう? 減税したほうが景気が上向くのでは? と基本的な疑問が頭に浮かんでくる。

消費税減税はどこへ消えた?

そもそも消費税については、昨年2024年の衆院選と今年2025年の参院選挙では、ほとんどの野党が減税または廃止を訴えていたはずなのに、選挙が終わるとなぜか消費税減税(または廃止)の話はどこかに消えてしまった。

首相就任前だったか、高市早苗議員がTVの討論番組で「消費税収は社会福祉だけに使われるものだ」と明言していたが、導入時は3%だったものが10%まで上がっても、社会福祉は手厚くなるどころか予算を削られて、もはや立ちゆかないといった厳しい状況に追い込まれている施設も多いという。

それもそのはず、最近よく言われるようになったが、消費税は社会福祉のために使われるというのは後から付け足した理屈であり、もともとは企業の法人税率を引き下げるために創設されたものだ。

それならば、物価高騰で消費者が買い控えをしている今、消費喚起のために消費税率を下げたほうが景気も改善して売上げも伸び、企業にとっても望ましいのではないかと思うのだが、どうだろうか。

戦争ができる国へ

臨時国会でそろそろ2025年度補正予算案の審議が始まる。

防衛費および関連経費で1.1兆円を計上し、25年度の防衛費はあわせて目標のGDP比2%を達成することになりそうだ。

一方で、2013年からの生活保護費引き下げについて先日最高裁で違憲判決が出たが、引き下げ額の保障についてはカバーするだけの十全な予算が取られていない。つまり違憲とされた引き下げ額を全額補填するつもりはないらしい。

人々の暮らしよりも軍備拡張に前のめりなことがこの補正予算案からもわかるが、これは今に始まったことではなく、ここ20年以上にわたって日本はアメリカの求めに従って「戦争ができる国」にむかって着々と準備を進めてきた。

民主党政権時代(2009-2012)には、集団的自衛権を容認し、武器輸出三原則を緩和した。

第二次安倍政権下(2012-2020)では、安保法制を強行採決し、集団的自衛権を行使できるとした。

その後の自民党歴代政権は、先島諸島をはじめ、日本各地に中長距離ミサイルの配備を計画して推し進めてきた。

その流れに沿って、先日の「存立危機事態」発言があるのだと考えると、ある程度納得ができるのではないだろうか。

しかしながら、トランプ米大統領はここへ来て中国との軍事的対立を避けるつもりらしく、台湾有事発言のあと、岩国基地に配備されていた米軍の中距離ミサイルを撤去したという情報も流れている(もしかしたらアメリカはベネズエラに集中するつもりなのかもしれない)。

アメリカが中国と闘う姿勢を見せない場合に、戦争ができる国となった日本は、果たしてどのような態度を取るつもりなのだろうか。

紙の健康保険証はまだ有効

ところで、いわゆる紙の健康保険証が12月2日から使えなくなる、マイナ保険証へ切り替えを、と誘導するお知らせが流れている。

すでに今年7月末で国民健康保険と後期高齢者医療制度は保険証の期限が切れているため、これですべての健康保険証が期限切れとなったことになる。

しかし実際には、来年3月末までは現行の紙の保険証を有効とする措置がとられるため、捨てないほうがいいようだ(これについて厚労省は積極的に周知するつもりがないらしい)。

また、マイナ保険証を登録していない人であれば、資格確認証という名称の新たな紙の健康保険証が手元に送られてくるので、これまでの保険証と同様に使用できる。

紙の健康保険証の廃止については、河野太郎デジタル担当大臣のもとで突然決められ(どう決まったのかを示す議事録さえ存在しないと言われている)、ゴリ押しされてきたことに対しても批判がある。

実際にマイナ保険証だと、顔認証がうまくいかない、表示されない漢字がある、資格確認ができない場合がある、介護施設などで預かれない、停電時は使えない、5年に1回更新が必要など、運用上さまざまな問題が報告され、利用率はいまだに37%程度だという。

国民の声を無視した紙の保険証廃止はやはり撤回すべきだろう。