株価と安倍政権の置き土産

  1. 日経平均が史上最高値を更新
  2. 安倍政権の置き土産と日銀の決断
  3. 山積みの課題を改善する

日経平均が史上最高値を更新

このところ、日経平均株価が史上最高値を更新したというニュースが続いている。

8月13日には日経平均株価が取引時間中に初めて43000円台をつけ、9月22日には終値が初めて45000円台を記録したという。

こうした動きを見て、日本の株式相場はすでにバブルなのではないかと言う人も出てきているが、あなたにはどう見えているだろうか。

たしかに円建てでは日経平均株価が大きく上昇しているが、ドル建てやユーロ建てで見たらどうなるか確認してみよう。

あるいは、中国元や東南アジア諸国の通貨に換算してみるとどうだろうか。

ほぼすべての通貨に対して円安に振れ続けている現状を考えると、残念ながら日経平均株価はけっして大きな上昇カーブになっていないことがわかるだろう。

安倍政権の置き土産と日銀の決断

さて、そんな株式市場の好況のなか、9月19日の後場に日経平均株価は一時800円以上も大きく下がった。

これは理由がはっきりしていて、日銀が第二次安倍政権下で大規模金融緩和の一環として買い入れしてきたETF(上場投資信託)を2026年から売却し始めるという発表がきっかけだった。

日銀は現在、簿価で37兆1000億円、時価では80兆円超と、間接的に日本株全体の時価総額の7%超を保有している状態だが、これを今後は年間3300億円(簿価ベース)ずつ100年以上かけて売却していくという。

なぜこのような大規模な買い入れをしたかというと、円を安くすると同時に、日経平均株価を高値へと誘導して経済を実態よりもよく見せたいという安倍政権の意図があったことは否定できないだろう。

時価で80兆円超(時価総額の7%超)、売却に100年超という数字を見ると、改めてその歪みの大きさに驚くしかない。

今回の決定は、いわば日銀がアベノミクスの置き土産を処分し始めたことを意味するが、日本の株式市場にとっては以前からの懸念材料だったため、緩やかなペースの処理計画が明らかになったことで市場に安堵感をもたらしたとされ、22日には株価が大きく反発した。

山積みの課題を改善する

考えてみれば、これは安倍政権が残した置き土産の一部でしかない。

自由民主党の総裁選が9月22日に告示され盛んに報道されているが、TVや新聞などを見ているとあらゆる分野で課題が山積みなのを痛感する。

と同時に、「解党的出直し」と言っている自民党には、どうやら抜本的改革の意志がないことが浮かび上がってくる。

日本経済の低迷、円安と物価高騰、重税と格差の拡大、中間層の弱体化と貧困層の増大、自民党議員の裏金脱税問題、議員や権力層の旧統一教会との癒着、マスコミの弱体化と政権への弱腰、国民の薄弱な主権者意識、一部政治家の質の低下、公文書の軽視や改竄、検察の機能不全、政治や行政における金の動きの不透明さ、教育や医療・福祉の荒廃……。

まだまだ上げきれないほど山積みだが、一つ一つ地道に改善していくしかないのだろう。

これは私たち有権者の責任であり、このまま放置するわけにはいかないのだから。