避難テントで凍死する乳幼児
ガザ爆撃のニュースが流れているが、少し振り返ってみたい。
今年の1月下旬、トランプ大統領就任にあわせたかのようにイスラエルのネタニヤフ首相がようやくガザ停戦に合意した。
停戦からしばらくして、がれきの山と化したガザ北部の街に大勢のパレスチナ人が戻って生活を立て直し始め、イスラム教にとって特別な意味を持つラマダン(断食月)を迎えた。
ところが3月に入るとすぐイスラエルはガザの国境検問所を閉鎖したため、それまでも不足していた食糧や飲料水、ミルクやおむつ、医療品といった援助物資がまったく入ってこなくなり、物価が暴騰。そのため、栄養失調と寒さによって避難テントで凍え死ぬ乳幼児が何人も出るような事態となった。
これは飢えを武器として使用したジェノサイドであるとして、国際的に非難の声が上がっている。
犠牲者の半分は子ども
停戦になったと言っても、ガザでは空爆こそ止まったものの占領軍による銃撃や拉致は続いていた。
イスラエル軍の主力はガザからヨルダン川西岸地区に移り、パレスチナ住民を家から追い出して建物を焼き、街のインフラを壊し、入植者が畑を奪いオリーブの樹々を切り倒すといったことが行われた。と言っても、こうしたことはイスラエルが建国からずっと行ってきて、何ら目新しいことではないようだ。
そして3月18日未明、イスラエルのF-15I、F-16、F-35の戦闘機120機がガザ地区を爆撃、攻撃は2時間続いた。
ターゲットにされたのは、断食明けの食事をしに人々が集まったモスクや学校、住宅、避難所やテントで、死者の数はわかっているだけで400人を超え、その半数以上は子どもだという。
イスラエルとハマスの停戦交渉が決裂したのが原因だといった報道があるが、イスラエルが停戦の第二段階への移行を拒絶して、一方的にまた攻撃を開始したにすぎないようだ。
広がる大企業ボイコット
イスラエルが虐殺を続けるのはなぜか。
ネタニヤフは自身の延命のために戦争し続けるしかないとも言われているが、アメリカやドイツをはじめ欧米諸国、そして欧米の大企業がイスラエルを支持しているから、というのも大きな要因だろう。
だからこそ、スターバックスコーヒーやケンタッキーフライドチキン、マクドナルドといった企業の不買運動が世界中に広がったりする。
日本も他人事ではなく、基本はイスラエルの側に立っている。
政府の基本姿勢や報道はもちろんそうだし、さらには私たちの納めた年金保険料が実はイスラエルの国債や銀行、最大手の軍需企業などに投資されている。
ガザの問題は、けっして遠く離れた中東の出来事ではなく、私たちの問題でもあることをぜひ知ってほしい。