イスラエルとアメリカがイランを攻撃
2月28日、イスラエルとアメリカはイランに対して大規模な軍事行動を起こした。
まずは入念に準備されたピンポイント攻撃によってイランの最高指導者ハメネイ師とその親族や首脳陣を殺害し、さらには女子小学校を爆撃して授業を受けていた100人以上の児童の命を一瞬で奪った。
遺体の損傷が激しいため被害の確定に時間がかかっているようだが、現地の情報では死亡した児童の数は148人とも、185人以上とも言われている。
今回の攻撃についてアメリカは、イランの民衆を圧政から解放するためであり、イランが保有しようと計画している核兵器の開発を阻止するためだと言っている。
だが当然ながら、ある国がいかに問題のある体制だとしても、他国が武力介入してそれを変えようとするなどということは許されるはずはない。
1月初めにアメリカがベネズエラを攻撃して大統領夫妻を拉致したことに続く、いわゆる棍棒外交(軍事力を背景にした強硬な対外政策)だと言えよう。
これは実は、アメリカが経済的にも国際的にも力を失いつつあり、焦っていることを示しているのかもしれない。
イランに核兵器はあるのか
アメリカとイスラエルは、イランが核兵器を持とうとしているとしてずっと非難し続けており、昨年6月にはアメリカがイラン国内の核施設を武力攻撃している。
今回の攻撃は、イランの核保有についてアメリカと間接的な交渉を行っている最中に引き起こされたという。
だが、イランはこれまでもIAEA(国際原子力機関)の査察を繰り返し受けており、国内に核兵器生産の兆候はないと認められている。
一方、イスラエルは公式には核兵器保有国ではなくIAEAの査察も拒否し続けているが、実際には核兵器保有国として国際的に広く認識されている。
それなのに今回、核兵器保有がイラン攻撃の理由に挙げられていることは、2003年にアメリカがイラク戦争を始める口実として、イラクが大量破壊兵器を保有していると言い出したことを思い起こさせる(しかし大量破壊兵器はなかったことが後日の国際調査で判明している)。
なぜイスラエルとアメリカは攻撃を始めたのか
イスラエルとアメリカが殺害したイランの最高指導者ハメネイ師は、政治的指導者である前にまずはイスラム教シーア派の宗教的指導者であり、1989年から長年にわたって人々を率いてきた。核兵器の保有を否定してきた人物であることも知られている。
そのハメネイ師を殺害したことで、世界中のイスラム教シーア派の怒りに火をつけたことを、イスラエルやアメリカの人々はどれほど理解し実感しているだろうか。
すでにパキスタンをはじめいくつかの国で、アメリカ大使館が襲撃されているようだ。
一方、攻撃を仕掛けた側にはどのような正義があるのか。
イスラエルのネタニヤフ首相は汚職疑惑で追い詰められており、逮捕を免れる目的で戦争状態を継続するために今回の軍事行動を起こしたと言われている。
そして、トランプ大統領が攻撃に出たのは、支持率の低迷とエプスタインファイルから国民の目をそらせたいから、イスラエルの諜報機関モサドにエプスタインファイルのことで脅されているから、といった推測が飛び交っている。
先日の記者会見で小泉進次郎防衛大臣は、アメリカとイスラエルの軍事行動を支持すると言ったが、さすがにその発言は短慮が過ぎるし、日本とイランとのこれまでの友好関係を無視している。
TVが報じていないこと
今回のことで痛感したのは、日本のマスコミ、特にTVの報道がいかに海外情勢の動きに対応できなくなっているかということだ。
2月28日にイスラエルとアメリカがイランの爆撃を開始した後でも、NHKはオリンピック総集編を流し続けたし、それ以降もニュースの特集番組はほとんどないように思う。
戦争状態になれば、どこの国も自国に有利な情報しか流さなくなるから、両方からの情報を得ることは状況を正確に把握するために不可欠だ。
イスラム諸国側の情報に接するには、SNSで英語版のアルジャジーラをチェックするか、現地をよく知る(あるいは現地在住の)日本人の発信者をフォローするのがいちばん手軽かもしれない(ただし発信の真偽や偏りには十分な注意が必要だろう)。
イスラエルの主要都市テルアビブがイラクの激しい攻撃に遭って反撃もままならないこと、UAEのドバイにあるトランプ大統領の企業が攻撃を受けたこと、米空母エイブラハム・リンカーンがミサイル攻撃で戦闘力を失ったこと、中東各国に置かれた米軍基地がいくつも壊滅状態に陥っていることなどが見えてくるだろう。
もちろん、日本国内の問題も山積みだ。
国会での審議無視と強行採決、答弁を避け続ける高市首相、統一協会と自民党の関係、新たに浮上した仮想通貨Sanae Tokenの問題、不正開票の実態など、TVが報じるべきことは山ほどある。
どうか萎縮していないでしっかり報じてほしいと願う。
