予算の年度内成立は可能なのか?

  1. 得票率36.7%で議席の67.9%を獲得
  2. 日本の選挙は問題だらけ?
  3. 裏金問題、旧統一教会との関係、国保逃れはどうなった?
  4. 高額療養費制度の限度額引き上げ

得票率36.7%で議席の67.9%を獲得

2月8日に行われた衆議院選挙は、465議席のうち316議席を得て自民党の歴史的大勝で終わった。

長年のあいだ与党の地位にいる自民党が自分たちに都合のいい時期に不意打ちで解散し、莫大な資金をネットなどに投入してイメージ先行の選挙戦を仕掛けたのだから、当然の結果だと言うべきなのかもしれない。

だが、得票率でみると自民党は比例区で36.7%と決して議席数で見るほど支持されているわけではなく、一方で議席につながらず死票となっている他政党への票は実に48%にのぼる。

これはよく言われるとおり、現在の小選挙区制という選挙制度が産み出した歪みであり、もしもすべての議席が政党ごとの得票数に比例して決まるとすれば、自民党は今回獲得した議席の半数を少し超えた167議席にとどまることになる。

特定の政党支持者が他党の比例復活議員を「比例ゾンビ」などと揶揄するが、自分たちに有利な小選挙区制を批判されないための先制攻撃だと考えるとわかりやすい。

小選挙区制は2大政党制を念頭に作られた選挙制度で、多くの小規模政党が誕生するいま、完全比例制に移行すべきだという声が高まっている。

国会内でも、現行の小選挙区制は民意を反映しきれていないので変えるべきだとして超党派で議論が進んでいたようだが、今回の選挙結果でそれもまた頓挫することになるのだろうか。

日本の選挙は問題だらけ?

まず、議員の任期をまだ2年半も残したまま、「7条解散」と言われる法的根拠の薄い首相独断の解散を、真冬の時期に厳しいスケジュールのなか不意打ちで行うことは、私たち有権者の権利をないがしろにする横暴なふるまいであることをしっかりと認識しておきたい。

さらに今回の選挙では、SNSやYouTubeで大量の自民党(というか高市首相)のプロモーションビデオが流れ、投開票日当日には新聞各紙に首相(個人としても今回の選挙の候補者)の顔写真が入った自民党の広告が掲載された。

いったいどれほどの金額をつぎ込んだのか、これは違法ではないかという疑問の声があがっているので、ぜひどこかの報道機関に検証してもらいたいと思う。

またYouTuberなどが収入目当てで感情に訴えるような(時に対立候補や対立政党を誹謗中傷するような)コンテンツを作成し流すといった行為も非常に増えているため、選挙期間は政治に関する動画などは収入が得られないようにすべきではないかとの指摘も増えている。

裏金問題、旧統一教会との関係、国保逃れはどうなった?

そもそも今回の選挙は、自民党の裏金問題、企業献金・パーティー券問題、旧統一協会との関係、維新の国保逃れなどが問われるはずであったが、マスコミはほとんどそこには触れなかったように思う。

韓国の警察が旧統一協会本部で押収した「TM(トゥルーマザー)特別報告」が明らかになり、高市事務所の裏帳簿の存在も判明したタイミングだったというのに、多くの報道機関はなぜか選挙の情勢分析のみに主力を注いでいたのではないだろうか。

特にTVが初の女性首相を持ち上げるような報道に終始していたのは、高市氏が総務大臣のときに「電波停止」の可能性を示唆した過去があるため腰が引けているのではと疑いたくなる。

さらには、準備がとうてい間に合わないスケジュールで強行したためか、投票所の入場券や選挙公報が届かない、投開票での集計が合わない、無効票が大量に出る、といった事態が頻発し、不正選挙を疑う声までわき起こる事態になっている。

こうした有権者の判断を惑わすような選挙のいびつな実態が是正されないうちは、政治への信頼と投票率の回復は見込めないのかもしれない。

高額療養費制度の限度額引き上げ

結局、今回の衆議院選挙は人気投票に終わってしまったような印象だが、高市首相の公約は守られるのか。

選挙の序盤には「消費税減税(食品に限定)」と言っていた高市首相だが、選挙中は「検討を加速する」と言い、選挙が終わって一週間ですでに「無責任な減税はしない」と言い出している。

おおかたの予想どおり、おそらく消費減税はないだろうし、代わりに来るのは国民の負担増と独裁体制強化を目指した憲法改正(という名の改悪)だろう。

国会審議の冒頭で改憲問題(国会機能維持条項=緊急事態条項)を出してくるとも噂されている。

国民の負担増だが、まずは石破内閣でとりあえず見送りとなった高額療養費制度の限度額引き上げを予算案に組み込んでいるし、さらには生活保護を3年で打ち切るといった話も流れてくる。

高額療養費制度は、大病をしたときにかかる医療費について限度額までの負担で済むようにする制度で、いわば健康保険のキモの部分だ。

自民党が出している予算案どおりに毎年これを段階的に引き上げていけば、結局は保険制度を根本から崩し医療を諦める人を生むことになるため、限度額引き上げ反対の署名活動が再び活発化している。

具体的には、ひと月の医療費負担が最大で2026年は2万円近く(翌年は最大で約7万円)引き上げられ、これで300億円の国費節減を見込むという。これは保険加入者一人当たり49円にあたる。

とにかく、高市首相がこの時期に想定外の選挙を行ったことで、国会の審議はほぼ1カ月遅れたことになる。

2月18日から開かれる特別国会で首班指名と代表質問が行われ、そのあとの通常国会で年度内の予算成立を目指すと言っているが、はたして可能なのだろうか。