米は足りているのか?

  1. お米の値段が1年でほぼ2倍に
  2. 「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」
  3. 国民を飢えさせない

お米の値段が1年でほぼ2倍に

農林水産省は3月3日、2月17~23日にスーパーで販売されたコメ5キロ当たりの平均価格が3939円だったと発表した。

これは前年同期と比べると94.7%高い価格とのことで、つまりは1年で日本の主食である米がほぼ2倍の値段になったと言っていいだろう。

だが、なぜ1年でこれほど値上がりしたのか、どう対処するのか(あるいは放置するのか)については、政府もマスコミもさほど深く追及するつもりはないように思える。

米が店頭にないと指摘され始めたのが去年の8月頃だが、それ以降、猛暑による米の不作、防災目的の消費者による一時的な買いだめ、輸出の増加、転売目的の買い占めなど、さまざまな説が出ては消えたものの、店頭在庫の品薄と米の値上がりは止まらずにいる。

「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」

今ちょうど通常国会が開かれているが、2月27日の衆議院予算分科会で野党の議員が「米の価格高騰」について質問したところ、江藤拓農水大臣が答弁のなかで「食糧法には価格の安定という言葉は無い」と発言したという。

この発言に対して誤りを指摘する声が他の議員からあがり、すぐに臨席していた農水省の官僚から訂正が入って、大臣は不本意ながら「ある」と答弁し直したようだ。

ちなみに、いま食糧法と呼ばれているのは2004年に成立した「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律」であり、元になっているのは1994年成立の「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」で、法律の名称からして米の需給と価格の安定を目的とすることは明らかだと言えよう。

このことだけでも、主食である米の需給と価格の安定を図らなければならないという意識が今の政権には希薄であることが見て取れる。

国民を飢えさせない

日本の食糧自給率は38%と言われているが、肥料や燃料、果ては野菜の種子に至るまで海外に頼っているので、現実はこれよりもさらに低いのは間違いない。

円高だった頃に食糧は輸入すればいいという考えが広まったものの、円安が進むにつれ一気に首が絞まってきた。

さらにここ数年は国際情勢がきな臭くなり、どこの国も自国の食糧確保を重要視し始めている。

今回の事態を、一時的に米の流通が滞っただけできちんと流れるようになれば解決する、と政府は安易に考えているように思えるが、本当に米の生産は足りているのか。

日本の米は戦中戦後の配給制の時代から食管法や自主流通米を経て、昨年8月に先物市場が復活し、価格決定を市場に完全に委ねた形になったと言っていいだろう。

だが、日本の農業の現状と世界の情勢はそれほど手放しで安心して見ていられるものだろうか。

農業従事者の平均年齢は70歳に近いという。いま大丈夫だとしても、5年後10年後のことを考えて手を打っておく必要があるだろう。

国民を飢えさせないことが国の根本的な責務のひとつであるのを忘れてはいけない。