石破首相の辞任会見
9月7日午後、ニュース速報が流れた。
「【速報】石破茂首相(自民党総裁)は退陣する意向を固めた」
18時から記者会見が開かれ、石破首相は、日米関税交渉など当面の問題がとりあえず落ち着いたので選挙結果の責任を取って辞める、と語った。
参議院選挙後、選挙での大敗の責任をとって総裁は辞任すべきだという声が、麻生派や旧安倍派などのいわゆる裏金議員から上がっていた。
国民から見れば、どう考えても参院選大敗の原因は石破現総裁ではなく裏金議員たちにあるとしか思えないし、党の最高顧問であり裏金議員を派閥内に多く抱える麻生太郎こそ責任を取らなくていいのかと言いたくもなる。
少なくとも石破茂首相は自分の言葉で国民に語りかけ、国民のほうを向いていると感じられる久々の政治家だっただけに、辞任の報は残念だという声がネット上でも強くなっている。
総裁選という自民党のためのお祭り
発表によると、総裁選は10月4日にフルスペック型(国会議員だけでなく党員党友も投票する)で行われることになり、臨時国会召集は10月中旬以降になる見通しだという。
これから1カ月以上、「総裁選」という自民党による自民党のためのお祭りが電通によって繰り広げられ、繰り返し報道されることになるわけだ。
今現在の、激動するきな臭い世界情勢と、疲弊しきった国内経済の状況を見ていると、よくそんな悠長なことをしていられるなと感心してしまうのだが、彼らは彼らなりに危機感をじてこの方法を選んでいるのだろう。
実際、総裁選の行方は?ということで、マスコミが毎日のように候補者たちを取り上げれば、有権者は自然と自民党の情報に接することになり、過去何度もあったのと同じように持率は上がっていくことが期待出来る。
毎日、コマーシャルを打っているようなものだと思えばやりがいもあるだろう。
マスコミが「政局」を動かす?
マスコミの報道や関心が、いわゆる「政局」、つまり首相の進退や衆議院の解散などの政権抗争に偏りすぎているのではないかとずっと感じてきた。
最近のテレビのワイドショーなどでも「石破おろし」と次期総裁候補の話題ばかりが流れているのを見れば、その傾向はウンザリするほどはっきりしている。
新聞やテレビの政治部(の記者たち)は、自分たちが政局に影響を与える力があると自負し、思惑通りに動かせると考え、実際に動かそうとしているふしがある。
7月の参院選直後に読売新聞と毎日新聞が「石破首相退陣へ」という号外を出し、その後も訂正記事を出さなかったことからも、そうした傾向がはっきりと見て取れる。
どう考えても客観的な事実を報ずる報道機関だとは言えない姿勢であり、有権者の関心を権力闘争の勝敗ばかりに向かわせ、本来見るべき本質的な問題から目をそらすように仕向ける効果さえあるのではないか。
そして、おそらく総裁選挙後に来るであろう解散と衆院選に向けて、自民党の議員についての報道と、自民党との連立が考えられる野党についての報道が繰り返されることになる。
つまり結果として、この国のマスコミはずっと自民党中心の報道しかせず、自民党政権の維持に貢献し続けているわけだが、それを批判する声もなぜか聞こえてこない。
少なくとも私たち有権者はこうしたことを意識しつつ、日本の社会をより生きやすいものにしていくためにはどうしたらいいのかを考えていきたい。