自民党新総裁に高市氏
10月4日に自民党総裁選の投開票が行われ、決選投票のすえ、小泉進次郎氏を破って高市早苗氏が選ばれた。
「解党的出直し」をかかげた12日間の選挙だったが、出馬したのは昨年の総裁選で石破氏に敗れた顔ぶれで新鮮味に欠け、一部では「敗者復活戦」などと揶揄されていたようだ。
高市氏が選ばれたことで、初の女性首相が誕生かと話題になっているものの、この総裁選で明らかになったのはむしろ、自民党の旧態依然とした姿ではなかったか。
投票直前には候補者全員が麻生太郎最高顧問に面談に行き、党内に厳然と残る麻生派の采配で議員票がやりとりされ、麻生氏の筋書き通り決選投票で高市氏に決まったというのだから。
第二次麻生内閣誕生か
自民党は何も変わらず派閥政治が生き残っていることがよくわかる展開だったが、票の融通をしてもらった見返りに、なりを潜めていた裏金議員や旧統一教会関連議員の復権と、麻生太郎氏の副総裁就任、麻生派の鈴木俊一氏の幹事長就任がほぼ決まっていると噂されている。
こうなるともう、高市氏が総理大臣に就任したとしても、その内実は第二次麻生内閣でしかないのかもしれない。
ちなみに幹事長に就任するという鈴木俊一衆議院議員は、第70代内閣総理大臣であった鈴木善幸氏の長男で、姉のちか子氏は麻生太郎氏の妻という関係のようだ。
いわゆるネポティズム(縁故主義)政治だが、このあたりの家系図を調べてみると、自民党の政治家がいかに姻戚関係でつながっているかがわかってなかなか興味深い。
アベノミクスを継承する?
高市新総裁について、どのように政界入りしたか、いかに苦労してきたか、趣味は車やバイク、好きな球団は、ヘアスタイルとメイクは、といった周辺情報ばかりが流れてくる。
一方で、もし首相になったとしてどのような政策をとるのかはあまりはっきりと捕えることがむずかしい。
スパイ防止法や憲法改正、軍拡、靖国参拝について前向きで、議員の裏金問題や森友問題の解明に後ろ向きなのは確かなようで、海外では「極右」と評されている。
経済政策としては、積極財政とは言うものの、たとえば消費減税や公共投資の増強などの具体案には触れていないし、アベノミクスを高く評価して「継承する」とも発言しているようだ。
そして総裁就任の挨拶で「(金融政策の)責任を持たなければいけないのは政府」「デフレはまだ終わっていない」等と述べたのを市場が日銀への牽制ととらえ、週明けの10月6日は相場が大きく動いた。
前週末に1ドル=147円台なかばだった為替が150円へと大きく円安に振れ、日経平均株価は2000円以上値上がりして史上最高値をつけた。
また円安株高の時代がやって来るのだろうかと先が思いやられる。これ以上の円安になると、庶民の日常生活はさらなる物価高に苦しめられることになりそうだ。
ついに金(ゴールド)1g=2万円へ
そういえば、10月に入って金1gの価格がついに2万円を超えたというニュースが流れた。
銀座の貴金属店では、金の地金を買うのに5時間待ちの行列ができ、20g以下の地金が品切れとなって販売を中止したという。
不動産価格も金の価格も株価も爆上がりしているわけだが、何度も言うように、つまりそれは円の価値が落ちているということを意味している。
ドル円だけに注目しているとドルも下落しているので今ひとつ実感しにくいかもしれないが、今回はトルコリラなども含め、他のあらゆる通貨に対して円が下落しているようだ。
ユーロが初めて175円になったというニュースがさきほど報じられたが、SNSでは通貨危機の懸念を示す人さえちらほら見かける。
円安に加え、世界的に食料品の価格が上昇傾向にあるが、食べ物も燃料も輸入に頼るこの日本で、私たちはこの先いつまで飢えずに生きていけるのかと、不安な気持ちになる。