議員定数削減は私たち主権者の力を削る

  1. 日経平均株価が5万円台へ
  2. 高市政権の支持率が82%
  3. 維新共同代表の金銭スキャンダル
  4. 議員定数削減は私たち主権者の力を削る

日経平均株価が5万円台へ

日経平均株価が高値を更新したと連日ニュースになっている。10月27日には5万円を突破、31日終値は5万2411円となった。

9月末の終値が4万4932円だったから、10月のひと月間だけで7400円ほど、実に16%も伸びたことになる。

この伸びについては円安の影響も大きいと言われているが、一方で日経平均株価という株価指数に歪みが出てきているという指摘がある。

ソフトバンクグループや半導体関連のアドバンテストなど、一部の値がさ銘柄の割合が急速に大きくなったことで、日経平均株価と市場の実態とのズレが増大したためだ。

実際、SNS上では「日経平均が最高値を更新しても値上がりしているのはごく一部の銘柄だけ、自分の保有銘柄は軒並みダウンでやばい」といった悲鳴も上がっている。

日経平均株価は定期的に銘柄の入れ替えなどを行っているのでいずれ歪みが解消されることになるだろうが、そうした現実があることも頭に入れてニュースを聞く必要があるだろう。

高市政権の支持率が82%

さて、高市政権が始動して2週間、さっそくJNNの世論調査で82%という高い支持率が出た(ちなみに回答率は39%、うち固定電話が85%)。

政権が始動してすぐの世論調査だからご祝儀相場的な期待もあるだろうし、トランプ大統領の来日、APEC出席と外交日程が目白押しで、TVニュースなどでの露出も多かった。

しかしながら、日米首脳会談は共同声明も共同会見もないという異例というか前代未聞の形で終わり、結ばれた両国間の合意が極端に日本側に不利であるのは明白であるものの、TVなどでは批判的な論調はほぼ皆無と言っていい。

マスコミは早くも萎縮しているのかと疑いたくなるが、高市政権についての本格的な判断や評価は臨時国会が始まってからになるだろう。

一方で、自民党の支持率はJNNの世論調査を見る限り、1%プラスの28.9%とほとんど回復していない。

高市政権発足後、早い時期に衆議院の解散と総選挙があるのではという見方もあるが、はたしてどうなるのだろうか。

維新共同代表の金銭スキャンダル

しんぶん赤旗の日曜版が10月末に、自民党高市政権に閣外協力している日本維新の会の共同代表、藤田文武衆院議員の金銭問題を報じた。

藤田共同代表は2017年から24年にかけて、公設第一秘書が代表を務める印刷会社に約2000万円の政党交付金を「機関紙ビラ印刷費」として支出していたことが、藤田氏の政治団体の収支報告書などからわかったという。

公設秘書とは議員活動に必要な調査などを担うための特別職の国家公務員で、経験などに応じて公費から月数十万円の給与が支払われる。

国会に提出されたこの秘書の「兼職届」によると、自宅が所在地となっている印刷会社から年720万円の報酬が支払われている。

藤田共同代表は、公金を還流しているのではないかといった疑惑を晴らすため、今後はビラ印刷の発注先を変更するとしている。

維新はこのところ党を離れる議員が続いているが、それに加えてこのスキャンダル、スタート早々に厳しいところに立たされていると言えよう。

議員定数削減は私たち主権者の力を削る

前回書いたように、組閣前に自民党と維新が交わした「連立政権合意書」には衆院議員定数の削減が盛り込まれていた。

もしも維新の言う比例50議席の削減がそのまま実現した場合、比例区では自民と維新で21議席減るものの小選挙区と合わせると212議席を獲得でき、今は過半数割れをしている自民維新で過半数を得られることが、試算の結果わかった(11月2日付けの毎日新聞)。

特定の政党や候補者に有利になるように与党が選挙区を変更することをゲリマンダーと呼び第二次トランプ政権下のアメリカで問題になっているようだが、自民維新が目指しているのは、いわば定数削減による日本版ゲリマンダーだと言っていいのではないだろうか。

維新はすでに大阪市議会・大阪府議会で議員の定員削減をした際に、一人区を増やすことで維新の議員を大幅に増やしてそれ以外の党の議員が当選しづらくし、独裁政治を実現している。

今回は同じことを国政レベルでやろうとしているように見えるが、実は彼らはこれを政治と金の問題から有権者の視線をそらすための「改革ネタ」として使っていることを、維新の幹部自身が漏らしている。

そもそも国会は、立法行政司法の三権のひとつを司る立法府であり、国民の代表としての意見を反映させてとりまとめる場である。

今でも他の多くの先進国と比べて、日本の人口当たりの議員数はむしろ少ないことは多くの人が指摘しているが、その定数を削ることは、有権者が自らの力を削ぐことであり、大資本や宗教団体といった堅固な支持基盤をもつ政党を強化し、少数政党の力を削ぐことである。

大前提として、政権与党という行政府の側から、立法府の力に制限が加えられるようなことは、本来あってはならないことを、有権者である私たちはしっかり認識しておきたい。