史上最短の選挙戦
ご存じのように、いま衆議院選挙が行われている。
1月23日に開かれた国会冒頭で高市首相が衆議院を解散したため(いわゆる7条解散)、27日に選挙が公示され、2月8日に投開票が行われる予定だ。
今回は、解散から投開票まで16日と、史上最短の選挙戦だという。
公職選挙法では衆議院解散から40日以内に投開票と決まっているが、投開票までの期間はなぜかどんどん短くなる傾向にある。
本来、有権者に各政党や候補者のことをよく知ってもらい、党首討論や選挙区での候補者の公開討論などを参考に熟考して投票が行われるべきものだが、このような年度末の多忙な時期に不意打ちで解散が行われて2週間ばかりの短期決戦で投開票となると、もはや有権者に考える時間を与えないためなのではないかと勘ぐりたくなる。
情勢分析より投票の判断材料を報道してほしい
2月2日付けの朝日新聞は、自民の当選は定数465の単独過半数を超え、「自民維新で300議席獲得も」と今回の選挙結果の予想を報じた。
しかし記事の元となった世論調査のデータを見ると、まだ投票先を決めていないという回答が選挙区で4割、比例区で3割あるのだから、この見出しは少し先走っているし、有権者の投票行動を誘導する可能性さえあるのではないだろうか。
マスコミには、投票結果の予想や情勢分析よりもむしろ、有権者の判断を助けるような事実の報道に力を入れて欲しいと強く思う。
たとえば、週刊文春2月5日号で報じられた高市事務所の裏帳簿の問題はほとんどTVや新聞で報じられていないが、この記事が真実であれば本来なら政治資金規正法違反で議員辞職となり公民権停止5年になるほどの重大事だし、さらに自分の選挙区の有権者のパーティー券購入を寄付扱いにして税金面で不正に優遇しているのも問題だ。
また、旧統一教会の関連会社がパー券を買っていることもこの裏帳簿から判明したが、高市首相は自民党内の聞き取り調査では旧統一教会とのかかわりはないと回答している。
いま韓国で追及が進んでいる旧統一教会の「TM(True Mother真のお母様)特別報告」に高市首相の名前が32回も出ていることも含め、真相の解明が必要だろう。
このあたりをマスコミが報道すれば、有権者にとってとても重要な判断材料になるのは間違いない。
「円安で外為特会ホクホク」発言と党首討論のドタキャン
1月31日、高市首相は川崎市内の演説会で円安の話題にふれて、「外為特会というのがあるが、これの運用が今ホクホク状態だ」と話した。
外為特会とは「外国為替資金特別会計」のことで、政府が管理する外貨建ての資産で為替介入に使われたりするもの。この評価額が膨らんだとしても、含み益でしかなく利益確定できないことはおわかりだろう。
この発言については、みずほ銀行から注意喚起のレポートが出されたのを見ると、この発言の重大さがわかる。
もちろん円高円安それぞれにメリットデメリットがあるが、この発言のいちばんの問題は、行きすぎた円安を是正しようと1月23日からアメリカと連携してレートチェック(介入の前段階とされる)を行い、1ドル=158円台から152円台まで誘導した直後だったことだ。
翌2月1日のNHK「日曜討論」は衆院選前の大事な党首討論だったが、高市首相は腕の怪我(リウマチによる手の痛み?)を理由に開始30分前に欠席を通知し、この発言を含めて批判されるのを避けたのではないかと憶測が飛び交った。
消費税はいずれ19%になる?
実は、高市首相がドタキャンするのはこれが初めてではない。
昨年10月の公明党連立離脱直後の会見ではTV出演予定をドタキャン(高市首相との齟齬が連立離脱の一因とも言われる)、台湾有事発言後の11月のG20では中国の李強首相を避けるかのように大幅に遅れて会議に参加し夕食会も欠席した。
どうやら、無責任とも取られかねない発言をして訂正も謝罪もせず、都合が悪くなると逃げる、というのが今の首相の行動パターンのようだが、そういう人に国政を任せてこの先大丈夫なのか、発言をそのまま信じていいのだろうかと非常に不安になる。
そういえば、高市首相は選挙前に「消費税減税は私の悲願だ」と言い、食料品にかかる消費税を2年間に限りゼロにするとしたが、実は自民党内で2年間だけ食料品0%にした後に消費税全体を12%に増税することが検討されていると、自民党候補のひとりがあるネット番組で明らかにしたという。
1年間だけ食料品のみ消費税をゼロにする(がその後全体の税率を引き上げる)というのは立憲民主党も以前に提案していたが、どうやらこれは財務省が考えているシナリオらしく、自民党の今回の案もこれと同じで、財務省が最終的に目指しているのは経団連が要望する消費税19%あるいはそれを超える税率のようだ。
高市自民が目指すのは緊急事態条項
そもそも前回の衆院選からまだ1年数ヶ月しか経たないのに、大雪で自衛隊に災害救援要請が出されるような真冬の時期に855億円もかけて選挙をするのはなぜなのか。
1月19日の会見で高市首相は、信任してもらえるかを改めて国民に問いたいからだと言った。
「その後政府が提出しようとしている法律案、これもかなり賛否の分かれる大きなもの…だからこそ、国会が始まる前に国民の皆様の信を問いたい。信任を頂けたら、これは力強く進めてまいります」
この賛否が分かれる法律案とは何なのか、選挙前に明らかにすべきだという声が当初から多数上がっていた。
2月2日、新潟県上越市での演説で、高市首相は「憲法改正をやらせてほしい」「いまの(国会の)憲法審査会の会長は残念ながら野党だ」と語った。
この発言のなかで高市総理は自衛隊の憲法への明記などを挙げたが、主眼は緊急事態条項を盛り込んで、独裁ができる体制を作って軍事国家を作っていくことにあるのだろう。
そうなれば国会など無視して、徴兵制でも増税でも医療費削減でも、やりたい放題できることになる。
言ってみれば今回の選挙は、高市自民によるゆるやかなクーデターのようなものかもしれない。
衆院選で国民に「信を問う」たのだから、白紙委任状はすでにもらってある、ときっと言うことだろう。その可能性が予測できて、白紙委任状を渡したい人はどのくらいいるだろうか。
中国が、日本が再び軍国主義へと進むのを防ぐために各国に呼びかけることを決めたというニュースがさきほど流れてきたが、もし選挙で高市自民が圧勝するようなことがあれば、日本はアジアで孤立することになりかねない。
世界が激動している。アメリカではエプスタインファイルが公開されて、その衝撃的な内容に世界中が騒然となり、各国で高官などが辞任する事態になっている。
日々ニュースから目が離せないが、TV新聞も含めて自分なりの方法で広く情報収集をして自分の頭で判断し、この荒波を生き抜いていこう。
