7月は2100品目超の食品が値上げに
2025年も後半に入り、今の日本の経済状況を示すニュースが二つ並んだ。
ひとつは、原材料価格の高騰や生産コストの増加などを背景に、7月に値上げされる食品は2100品目を超えて、去年同月のおよそ5倍と大幅に増加することがわかったというもの。
もうひとつは、2024年度の国の税収が75兆円台となり、5年連続で過去最高を更新する見通しとなったというものだ。
税収増加の要因としては、好調な企業業績を背景に法人税収が伸びたほか、物価の上昇などを反映して消費税収も増えたからだと説明されている。
だが、企業業績が好調と言われる一方で、中小企業の倒産件数は年間10000件を超えて過去最多となり、消費税が倒産の理由の一つに挙げられる、というニュースも流れていて、こちらのほうが生活実感により近いように思う。
つまりは、格差が広がって一般庶民と中小企業が不況と物価高で苦しみ、さらには消費税などの税金を取られすぎて生活が苦しくなっている、というのが実態ではないだろうか。
消費税減税が参院選の争点に
今月3日に公示され20日に投開票を迎える参議院選挙では、こうした景気の悪さ、生活の苦しさ、物価高、税金や社会保険料の重さ、ことに消費税とインボイス制度などに焦点が当てられることになりそうだ。
いま、消費税減税または廃止について触れていない政党は自民党だけで、他の政党は消費税の即刻廃止(れいわ新選組)から1年間食品だけ消費税ゼロ(立憲民主党)まで、何らかの形で公約として出している。
一方、自民党の幹部は「消費税を守り抜く」と言い切っているため、この点については与野党が完全に対立している。今回の選挙結果に国民の意志がどのような形で反映されるのかが注目される。
念のために参議院選挙についておさらいすると、参議院議員の任期は6年で、定数248人の半数が3年ごとに改選され、うち50人が比例代表、74人が選挙区で選出される。
選挙区は原則として都道府県で1区域(鳥取県・島根県、徳島県・高知県はそれぞれ2県で1区域)となり、各地域の人口に応じた議員1~6人を選出する。
比例代表選挙では全国共通の候補者名または政党名で投票し、特定枠の候補者(優先的に当選人となるべき候補者)があればその人を上位とし、その他の候補者は得票数の多い順に当選人が決まる。自公と野党の議席数(現在は146:101)がどこまで動くのかが注目される。
新興政党を見きわめよう
ここ数年の選挙で注目されているのが新たな政党の台頭だが、なかでもここへ来て急激に支持を伸ばしているのが参政党だ。
このグループは一言で言うときわめて右の改憲派で、公表している憲法改正案では、第一条で日本は天皇のしらす(治める)君民一体の国だとしており、戦前回帰、天皇主権体制を目指していると言えるだろう。
また、党代表の神谷宗幣氏は、女子高生は大学に行かずに子供を3人妊娠しなさい、天皇に側室を、多夫多妻制で少子化解消できる、ペドフィリア(小児性愛)は許されるべき、といった発言をして物議をかもしている。
彼は元々、自民党から地方議員選に出馬した人物で、ヒトラーの『わが闘争』を愛読し、イスラエルの軍国主義や軍国教育を崇拝するシオニストであり、旧統一教会をはじめいくつもの新興宗教とのつながりが指摘されていることも知っておきたい。
各党の支持率のグラフをたどると、昨年秋の衆院選では自民党の支持率が大きく下がるのと同時に国民民主党が支持を大幅に伸ばし、今年6月の都議選をはさんで国民民主党がオウンゴールで支持率を落とすと代わりに参政党などの支持率が急上昇したように見える。
「れいわ新選組と参政党は不況対策に積極財政を提案しているからよさそうだ」という人が増えているようだが、これからの国の行方を決める大事な選挙なので、なんとなく雰囲気で決めるのではなく、よく調べて納得してから投票してほしいと心から願っている。