江藤拓農水大臣の「米を買ったことがない」発言
「米は日本の主食である」と言われて否定する人はあまりいないだろう。
だが、その主食であるはずのお米が、スーパーの店頭で品切れしたり、「お一人様一点限り」と制限がついたりする、という状況が続いている。
政府はようやく備蓄米を放出し始めたものの、1年でほぼ2倍になった価格は下がらないままだし、店頭の品薄も解消していない。
NHKの討論番組でも大きな政治問題として取り上げられたところだ。
そんななか、江藤拓農水相が地元の政治資金パーティーで「(米を)買ったことがありません。支援者の方がたくさん下さるのでまさに売るほどある、私の家の食品庫には。」と発言したことが報じられた。
なんとも庶民の感情を逆なでする発言だが、3月の国会質疑で「食糧法には価格の安定という言葉は無い」と法の主旨に反した答弁をして訂正を余儀なくされた大臣なので、意外な気はしない。(と同時に、有権者から金品を受取るのははたして合法なのか、という疑問が浮かぶ。)
この人に任せておいても米の需給は改善されるとは思えないので最低限でも大臣を交代すべきだろう。いずれにせよ米不足の問題は年単位で長引きそうだ。
ガザでは小麦粉の価格が40倍に
主食が買えないといえば今、ガザの小麦粉の不足と価格高騰が想像を絶するほどひどいことになっている。
2023年10月17日のガザ侵攻前までは小麦粉25キロの袋が約15ドルだったのに、今ではなんと600ドル、40倍にまで値上がりしているというのだ。
原因はイスラエルが3月以降、小麦粉を初めとするあらゆる物資の搬入を完全に止めているからに他ならない。
ガザは高い壁に囲まれていて、出入りするのには必ず検問所を通らなければならない。
つまりガザは長らくアパルトヘイト状態におかれているのだが、イスラエルはその出入り口を封鎖して物資の搬入を完全に止め、中にいるパレスチナ人を殺害し、美しかった街並みががれきの山になるまで爆撃や爆破を繰り返している。
これはまさにジェノサイド、民族浄化と呼ばれる状態だが、アメリカやイギリス、ドイツなどがイスラエル側に立っているため、その実態は正しく報道されないままだ。(日本も当然イスラエル側に立っているのは、報道を見れば明白だ。)
国連でさえこのイスラエルの愚行を止めることができずにいる。
「トマホークはかじれない」
このガザの惨状を知ってから、私たち日本人の状況と重ね合わせて考えてしまうことがある。
日本は壁で囲われているわけではないが、そのかわり四方には海が広がっている。
もしこの先、日本がどこかの国と対立して戦争にならないまでも国際的な緊張状態が生まれたら、食料が入ってこなくなるのではないか。
日本の食糧自給率は38%と言われているが、食料が輸入できなくなったとき、私たちの生活はいったいどうなるのだろう。
日本政府は着々と軍備拡張を進めており、来年度の防衛予算として過去最大の8.7兆円をあてることになっているが、NHKの「日曜討論」でやはた愛議員が発言したように、困ったときに国民は「トマホークはかじれない」わけなので、まずは食糧確保を優先し武器よりも外交で国を守ってほしいと思う。
政府には、そうした事態が起こったときのことをしっかり考えて政策を立ててほしいと心から思う。