目で見えないものを頭で見る
金持ち父さんはこう言った。
「不動産はあくまで不動産で、会社の株券は会社の株券だ。そういったものは目で見ることができる。でも本当に大切なことは目に見えない。取引、お金に関する取り決め、市場、マネージメント、リスク要因、キャッシュフロー、会社の組織、税制、そのほか投資の良し悪しを左右する多くのことは実際には目に見えないが、それが一番大事なんだ」
(「金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント」(筑摩書房))
金持ち父さんは、投資家の90%が儲けられない原因の一つをこう説明している。
たいていの人は、投資をする時、95%は目を頼りにする。頭を頼りにして投資するのはほんの5%だ。
これらの人は、不動産の値段や株を発行している会社の名前ばかりに注目し、目に見えるもの、あるいはブローカーが教えてくれたことや会社の同僚からの耳寄り情報などをあてにして決定を下す。
そして、多くの場合は、理性ではなく感情に動かされて買ってしまうのだ。
儲けられない90%の投資家は、必ずしも損をしているわけではないが、とにかくお金を儲ける事ができない。
その理由は、たいていの人は手っ取り早く金持ちになろうとして、頭ではなく目や感情に頼って投資をしているからだ。
金持ち父さんは、
「キャッシュフロー・クワドラントのB(ビジネスオーナー)あるいはI(投資家)でプロになりたかったら、反対に目を使うのは5%、あとの90%は頭で見るように自分を訓練する必要がある。お金が見えるように頭を訓練した人は、そうでない人よりずっと有利な立場に立つ」
と述べている。
では、お金を頭で見るためにはどうすればよいのだろうか。
お金が見えるように頭を訓練する
お金が見えるようになる訓練するには、ファイナンシャル・リテラシーの一言に尽きる。
お金に関する言葉と数字を理解し、資本主義における数字のシステムをマスターすることから始まる。
言葉や数字が分からなければ、何を読んでも何を聞いても、まるで未知の外国語を相手にしている様なものだ。
ファイナンシャル・インテリジェンスの基礎となるファイナンシャル・リテラシーは、言葉と数字を知ることから始まるのだ。
例えば、
「私が持っている株の株価収益率(PER)は12で、投資用のアパートの資本率は12だ」
と言って、これだけ分かっていても財産を増やすことはできない。
だが、少なくともその国の言葉を話し、その国で使われている数字を使っているわけだから、何も知らないよりはいい。
ロバート・キヨサキは、「お金を作るにはお金が必要だ」という意見には反対だと述べている。
お金でお金を作る能力は、言葉と数字を理解するところから始まるからだ。
目ではなく、まず頭に入ってくるようでなければ、お金は身に付かないのだ。
本当のリスクとは何か
お金が見えるように頭を訓練するための次のステップは、本当のリスクを見極める力をマスターすることだ。
お金に関するアドバイスはどんなアドバイスでもないよりはましだ、と堅く信じていた金持ち父さんは、どんな意見にも耳を傾ける姿勢を常に持っていた。
だが、最終的に決定を下す時には、自分自身のファイナンシャル・インテリジェンスに頼っていた。
なぜなら、何も知らない場合は、どんなアドバイスでもないよりましだが、アドバイスの良し悪しを判断することができない人にとっては、それは危険だからだ。
アドバイスする人の能力は、それを受ける人の能力以上にはならない。
お金に関する正しい教育を受けていれば、有能なアドバイザーはより高度なアドバイスを与えることができる。
反対に無知ならば、安全な運用戦略しか教えられない。
わざわざ時間を掛けて、投資家を教育をしようなどというアドバイザーはまずいない。
彼らの時間もまたお金なのだ。
だから、真の投資家になるためには、自分で自分を教育しなければならない。
それができて、自分のお金をうまく管理できるようになってはじめて、有能なアドバイザーからごく少数の人を対象にした貴重な投資戦略を教えてもらえるのだ。