ビジネスは複合的システム
ロバート・キヨサキは、ビジネスを
「内部で働くシステムが集まってできている複合的なシステムだ」
と述べている。
(「金持ち父さんの投資ガイド上級編」(筑摩書房))
B-Iトライアングルの内部を構成する要素はどれも独立したシステムで、それらが互いに結びついて、ビジネス全体を作り上げている。
どんなビジネスでも、成長する為には従業員一人ひとりがそれぞれのシステムに責任を持ち、全体を監督する責任者が、全てのシステムが可能な限り効率的に稼動するように目を光らせている必要がある。
財務諸表を読むということは、飛行機のコックピットに座って、全てのシステムの状況を知らせる計器盤を見つめているパイロットのようなものだ。
システムのうち、どれか一つでもうまく作動しなくなったら緊急措置をとらなくてはならない。
システムを効率よく稼動させる
規模の小さい、まだスタートして間もないビジネスやスモールビジネスが失敗することが多い理由は、全体のシステムを操作する人間が監視しなければならない「モニター」が沢山ありすぎることだ。
どれか一つのシステムが作動しなくなる、例えばキャッシュフローが止まったりすると、殆ど同時に全てのシステムが動かなくなってしまう。
では、システムを効率よく稼動させる方法を学ぶにはどうすればよいのだろうか。
ロバート・キヨサキは、投資初心者が手始めにやるには不動産への投資がいいと述べている。
なぜなら、まだ慣れていない投資家は、あれこれシステムをいじくり回す傾向があるからだ。
不動産投資では、土地の上に立つ建物がビジネスとなる、つまり店子が家賃を払ってくれるシステムだ。
不動産市場は動きもゆっくりしているので、何かがうまくいかなくなり始めた時に、新米のビジネスオーナーでも対応する時間的余裕がある。
また1、2年、大家として不動産の管理のしかたを学べば、ビジネス経営の技術を身に付けられる。
投資に適した物件を見つける方法として、ロバートは
「ビジネス経営がうまくできないでいる人を探すことだ。そうすれば、お買い得の不動産を見つけることができる。ただし、ただお買い得だというだけで買うのは絶対にやめた方がいい。“お買い得”が実は巧みにカムフラージュされた“悪夢”だったということもある」
と述べている。
真のビジネスシステム
真のビジネスシステムは自動車のようなものだ。
ある一台の自動車を運転できるのは一人だけというわけではない。
運転の仕方を知っている人なら誰でも運転できる。
Bクワドランド(ビジネスオーナー)のビジネスにはこれと同じことが言えるが、Sクワドランド(自営業者)のビジネスは必ずしもそうではない。たいていの場合、Sクワドランドの人は自分がシステムそのものになってしまっている。
優れたビジネスオーナーは、自分がシステムの一部にならずに、複数のシステムを効率的に管理することができる。
システムが良くなればなるほど、人間に依存する割合は少なくなっていく。
ロバート・キヨサキは、マクドナルド社について次のように述べている。
「マクドナルドの店は世界中どこへ行っても同じだ。そして、十代の若者たちが仕事をこなしている」
こんなことが可能なのもシステムが万全だからだ。
マクドナルド社は人間ではなく、システムに依存しているのだ。