ノーベル経済学賞・スティーグリッツ教授の提言

  1. 消費税増税は延期すべき
  2. アベノミクスはどこへ?
  3. TPPについての懸念

消費税増税は延期すべき

みなさんは最近、景気が良くなっていると感じているだろうか? それとも悪くなっていると感じているだろうか?

2014年4月、消費税が17年ぶりに5%から8%に引き上げられたが、それをきっかけに景気が悪化しているのではないかという声が多くあがっている。

また、2017年4月には消費税率が10%に引き上げることがすでに決まっているため、さらなる景気の悪化を懸念する声も強い。

そんななか、3月16日に、ノーベル経済学賞受賞者でコロンビア大学のスティーグリッツ教授が首相官邸で開かれた「国際金融経済分析会合」の初会合に出席し、2017年4月に予定される消費税増税を延期すべきだという考えを述べたことが報じられた。

さらに教授は世界経済についても、「2015年は世界金融危機以降、最悪の年になった。16年は15年よりもさらに弱くなるだろう。」「金融政策は限界に来ている。」とも述べて、各国で協調して財政出動をするべきだという考えを示したという。

アベノミクスはどこへ?

安倍政権の政策の目玉であるアベノミクスは、「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」という三つの矢によるデフレ脱却を目指していたはずだ。

第一の矢である金融政策については、日銀はこれまでにない量的・質的緩和を行ってきたが、今年になってさらにマイナス金利を追加した。

だが、スティーグリッツ教授の「金融政策は限界に来ている。各国で協調して財政出動をするべきだ。」という今回の発言を見る限り、アベノミクスは第一の矢ですでに失敗していると言わざるを得ないのではないか。

キヨサキが言うように、そもそも経済を改善させる力が政治や政治家にあると期待すること自体が、もしかしたら間違いなのかもしれない。

TPPについての懸念

それだけではなく、スティーグリッツ教授はTPPについても、「国民の利益にはならず企業を利するだけ」「不公正を拡大し、環境を壊す」などと懸念を表明した。

特に、TPPは民主的な手続きを経ていないこと、TPPはアメリカ議会では批准されないだろうこと、TPPに含まれる外国企業が進出先の国を訴えることができる国家訴訟条項(ISD条項)によってその国の環境保護規制が後退する恐れがあること、医療分野に関して大きな製薬会社だけが儲かるしくみになっていて、国民の健康が損なわれることなどにも言及したという。

しかし安倍政権がTPPの批准を急いでいるためか、こうした発言は日本のマスコミではほとんど流れず、日本農業新聞などごく限られたメディアしか取り上げていないようだ。

キヨサキが繰り返し言うように、今は情報時代で、たしかに情報はあふれている。

だが、これもキヨサキがよく言うように、本当に必要な正しい情報に手が届いているのか、得た情報を読み解くだけの知識があるのかを常にチェックしていかなくてはいけないだろう。