年金を株式で運用すると

  1. 公的年金の運用は赤字か黒字か
  2. アメリカの年金はどうなっている?
  3. キャピタルゲインかキャッシュフローか

公的年金の運用は赤字か黒字か

年金の話題などあまり興味がない、という人も多いかもしれないが、無関係ではいられないのでやはり知っておくほうがいいだろう。

2016年3月1日に公的年金の運用に関するこんなニュースが流れた。

「公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は1日、2015年10~12月期の運用損益が4兆7302億円の黒字になったと発表した。

四半期ベースで過去最大の赤字を計上した7~9月期に比べ、国内外の株価が回復したことが大幅な黒字計上につながった。運用資産に対する収益率は3.56%となった。

ただ、7~9月期の7兆8899億円の赤字が響き、15年4~12月期の収益は差し引き5108億円の赤字。

また年明け以降の株価急落や円高進行を背景に、16年1~2月の運用収益は赤字に転落している。」(時事通信)

記者会見したGPIFの担当者は、「年金積立金の運用は長期的観点から評価すべきだ」と強調した、という(つまり長い目で見てほしい、ということか)。

アメリカの年金はどうなっている?

日本の公的年金を株式市場で運用することについては、当初から疑問の声があがっていて、海外では公的年金は株式市場など動きの激しい市場では運用していない、と指摘する人もいる。

しかし、そうとも言い切れないところがあるようで、リーマンショックの際に株で運用していたために、アメリカのある州の公務員の年金基金が大きく不足してしまったといった事例もあると聞く。

だがそれよりも大きなアメリカの年金問題は、キヨサキが繰り返し言うようにエリサ法という法律によって、個人の年金口座に入れた退職資金を投資信託を通じて株式市場で運用しなければならないようになっていることだ。

これは日本でも同じようなしくみが出来ていて日本版401(k)と呼ばれているが、アメリカの場合はどうやら退職金分もここに含まれているらしい。

問題の一番の焦点は、キヨサキが『金持ち父さんの予言』から繰り返し指摘しているように、多くの人が退職して一度に引き出せば、株価は当然下落することになるのではないか、ということだ。

キャピタルゲインかキャッシュフローか

株式投資は、もともとは長期保有して配当を得るのが主な目的のものだったが、インターネットの普及などもあり、テクニカル投資の割合が増えて短期・超短期の売買に移行している。

お金の速度が速くなったことで、ボラティリティ(価格変動)を利用していかにキャピタルゲインを得るかが主な目的になったように見える。

つまり、株式投資の目的がキャッシュフローからキャピタルゲインにシフトしたと言っていいだろう。

だが、株式投資に限らずキャピタルゲインが目的の投資では、多くの人が同時に売れば相場は当然下がっていくことになる。その時の備えはできているだろうか。

金持ち父さんがキャッシュフローを得るための投資を勧めていたことをもう一度思い出して、自分の投資スタンスを確認してみてはどうだろうか。