世界同時株安のゆくえ

  1. キヨサキは警告していた
  2. だれもが市場と無関係ではいられない
  3. すべてが連動している

キヨサキは警告していた

ギリシャの財政破たん懸念などでこのところ各国の市場は不安定だったが、週明け8月24日からそろって値を下げる展開となった。

同時に為替も影響をうけ、1ドル121円から116円へと急激に動いた。

みなさんのなかに、「『金持ち父さん貧乏父さん』を読んで投資を始めたのに! このままじゃ大損だ!」という人がいないことを祈りたい。

ただ、なによりもロバート・キヨサキがこうした世界同時株安の可能性をずっと指摘していたことは押さえておいてほしい。

キヨサキは懸念を伝えるために2002年に『金持ち父さんの予言』を書き、最新刊の『金持ち父さんのアンフェア・アドバンテージ』(いずれも筑摩書房刊)にいたるまで、繰り返し警告を発してきた。

だれもが市場と無関係ではいられない

『金持ち父さんの予言』が刊行されると、アメリカでは金融業界を中心に批判的に受け止められた。

この本でキヨサキが指摘したのは、401(k)などにより一般の人がみんな投資家となって自分の引退後の資金を、直接、または投資信託などを通じて間接的に、株式市場で運用するようになったことだった。

そうした莫大な資金の流入によって膨らんだ株式市場は、ベビーブーマーが引退し、こんどは生活のためにお金を引き出し始めたらいったいどうなるか? 一気にしぼむことは間違いないだろう。

それは何もアメリカ市場に限ったことではなく、日本をはじめ各国で同じことが起こり得るし、一度こうしたことが起これば、いまは瞬時に世界中に波及していく。

このような指摘が金融関係者に受け入れられなかったのは当然のことかもしれない。

すべてが連動している

さらにキヨサキは「金持ち父さん」シリーズのなかで、もし株式投資をするのなら「現物の株を買って持ち続けて値上がりするように祈るだけ」というのはやめたほうがいい、と繰り返し警告している。

市場が上がろうが下がろうが変動することで儲けを生み出せる可能性があるのだから、株式投資には様々な手法があることをよく知って、保険をかけて投資するように、ともアドバイスする。

また、経済の破たんを引き起こすのは当然、市場の暴落だけではないことも指摘している。

『金持ち父さんのアンフェア・アドバンテージ』のなかでキヨサキは、日本の国家債務のGDP(国内総生産)に対する割合が二倍を超え、世界主要国の中で最大であることをあげ、主要国で最初に破たんに追い込まれるのは日本ではないかと危惧を示している。

国の経済が破たんすれば、当然ながらそれは為替や株式市場にも波及する。

株式投資やFXを手掛けるなら、こうした指摘があることも視野に入れておきたいものだ。