資本家は私たちの生活をよりよいものにする
ロバート・キヨサキは『金持ち父さんのアンフェア・アドバンテージ』の最後を「資本主義擁護論」でしめくくっている。
金融危機以来、資本主義は諸悪の根源のように言われている。
しかし今の金融危機は、政界とビジネス界のトップにはびこる腐敗によって引き起こされたものであり、資本家とは本来、そのような強欲な悪の権化ではないとキヨサキは言う。
「真の」資本家は、人々の生活をよりよいものにした時のみに利益を手に入れる。
たとえば資本家たちによって作り出された飛行機、携帯電話、電力、医薬品、コンピュータなどが、どれだけ私たちの生活をよりよくしてきたかは、ちょっと考えてみればすぐわかる。
労働者は自分の労働力を売る
キヨサキは、間違っているのは学校システムだと考えている。
いまある学校システムは、プロレタリア階級を生み出すことしかしていないからだ。
プロレタリア階級とは、資本主義社会にあって、生産手段を持たず、賃金と引き換えに自分の労働力を売るしかない賃金労働者だ。
しかし、いくら働いてお金を稼いだとしても、今やお金は借金であり、国家債務が増大するにつれてお金は価値を失っていく。
持ち家も貯金も労働者の資産とはならず、それを利用してお金を生み出す金融機関などの資産として機能している。
起業家や資本家を生み出す教育を
キヨサキの祖父は、日本からハワイにきた移民だったが、プランテーションで働くことを嫌い、写真関係のビジネスを手始めに起業した。
その子供である父も、プランテーションで働く「賃金で雇われた奴隷」にはなりたくない、そのためには教育が必要だと思って教育者となった。
しかしながら情報時代のいまでも、高学歴をもっている人も結局は大企業というプランテーションで働いている労働者でしかないのではないか、とキヨサキは言う。
真に豊かな世界になるためには、生活をよりよくするサービスを形にし雇用を生み出す資本家がもっと増えることが必要であり、資本家を生み出すための教育が不可欠だというのが、彼
の主張だ。
そんな日がいつかやってくるだろうか。