あなたの「借金ゼロ」は本当か?

  1. 「借金ゼロ」はオキシモロン
  2. 「お金を貯める」と「借金ゼロ」
  3. 日本の債務はGDPの2倍

「借金ゼロ」はオキシモロン

何回か続けて取り上げてきたが、キヨサキは『金持ち父さんのアンフェア・アドバンテージ』(筑摩書房刊)のなかで、矛盾をはらんだ言葉=「オキシモロン」について書いている。

一般によく言われる言葉自体がすでに矛盾をはらんだ「オキシモロン」であるのに、矛盾に気付かないままその言葉を信じて行動する人たちがいるが、そうした人たちは、リスクを避けようとしてかえってリスクにはまり込むことになる、というのだ。

そんな矛盾をはらんだ言葉=「オキシモロン」のひとつとして、キヨサキは「借金ゼロ」をあげている。

「家や車のローンも払い終わったし、クレジットカードの支払いも滞っていない」と胸を張る人も、実は「借金ゼロ」ではない、とキヨサキは言う。

これはどういうことだろうか。

「お金を貯める」と「借金ゼロ」

前回書いたように、キヨサキは「お金を貯める」はオキシモロンだと言っているが、「借金ゼロ」はこの「お金を貯める」といわば対になっていると考えればいい。

お金のルールが変わったことで世界にはお金があふれ、各国政府は自分の国を不景気にしたくないからと金(ゴールド)などの裏付けなしに好きなだけ不換紙幣――キヨサキは「贋金」と呼ぶ――を印刷し続けている。

そのため、お金自体の価値はどんどん下がり、金や銀をはじめとして物の値段が上がり、貯金をしている人は結局は損をする。

それと同時に、政治家は生活をよりよくすると国民に約束し、景気を良くするためにお金をつぎ込み、税金では足りずに国債を発行し、膨大な国家債務を背負うことになる。

一方で、それは国の借金であって国民の借金ではない、という考え方もあるが、結局は私たち国民が使ったお金、あるいはこれから使うだろうお金だ。

日本の債務はGDPの2倍

たとえば、2010年の時点で、日本の債務はGDPの2倍にまで達している。

これを個人の家計に置き換えてみれば、年収の倍額を借金していることになるわけで、年収500万円の家庭が1000万円の借金をしているとイメージすれば、健全な状況であるかどうかはすぐにわかるだろう。

さらにこれ以降、少子高齢化が進み、年金をはじめとする社会保険などでかかるお金は増えていくだろうと予測されている。

つまり、お金の問題は自分の家計だけでとどまるものではなく、社会や国、世界のレベルでも考えてみなければならない。

私たちの国や社会が破たんせずに生き延びるためには何をしたらいいのか、真剣に考えてみる必要があるだろう。