「お金を貯める」のはいいことか?

  1. 「1億円貯める!」は魅力的な響き
  2. お金のルールが変わった
  3. 「お金を貯める」の次を考えて動く

「1億円貯める!」は魅力的な響き

「お金を貯める」という言葉は、魅力的な響きを持っている。

サラリーマン向けの雑誌記事やビジネス書などでも、「1000万円貯める」「1億円貯める」といったキーワードがタイトルに使われているのをよく見かける。

たしかに、預金残高の桁数がふえていくのを見るのはじっさい悪い気がしないだろう。

だがキヨサキは『金持ち父さんのアンフェア・アドバンテージ』(筑摩書房刊)のなかで、矛盾をはらんだ言葉=「オキシモロン」のひとつとして、「お金を貯める」をあげている。

言葉自体が「オキシモロン」ですでに矛盾をはらんでいるのに、その矛盾に気付かないまま一般によく言われる言葉に従って行動する人たちは、リスクを避けようとしてかえってリスク

にはまり込んでいる、というのだ。

「お金を貯める」が矛盾した言葉だというこの指摘について、どのように考えればいいのだろうか。

お金のルールが変わった

ひとつ押さえておきたいのは、「お金のルールが変わった」こと、つまり「世界にはお金があふれている」ということだとキヨサキは言う。

いま、各国政府は自分の国を不景気にしたくないから、どんどん不換紙幣――キヨサキは「贋金」と呼ぶ――を印刷し続けている。

つまり、お金自体の価値はどんどん下がり、インフレになっていく。

そうすると当然ながら、金や銀をはじめとして物の値段が上がり、貯金をしている人は結局は損をする。

このことは押さえておかなければいけない重要なポイントだ。

さらに、銀行に預けたお金は、銀行がどこかに貸し付けるので、あなたのためではなく銀行のために働くことになる。

「お金を貯める」の次を考えて動く

しかしながら、キヨサキは「お金など貯める意味がないから、どんどん使ってしまえ」と言っているわけではない。

そうではなくて、資産を作るにはお金を銀行に貯めておくだけではだめで、もっと別の方法でお金を働かせるようにしよう、と言っているのだ。

実際問題として今の低金利では、銀行に1億円預けたとしても、その利子では一年間生活することさえできない。

一方で、お金を無駄遣いしない習慣をつけることは、お金とつきあっていくための基本だ。

また、実際にビジネスを始めようとするなら、元手になるお金をある程度貯めることも必要だろうし、銀行と付き合っていくことも大事になるだろう。

つまり、お金を貯めることは最終目的ではなく次へ進むための中間ステップだと考え、そのお金で何をしたいのか自分の目標をはっきり持って行動することが大切なのだ。