リスクを避けようとして、かえって大きなリスクが?
リスクのない人生、というと、ごく一般的にはどんなイメージを持つだろうか。
福利厚生の手厚い雇用の保障された職場で働き、お金を貯めて、大きな借金はしない。
貯めたお金は安全な投資にまわす……たとえば、投資信託を中心にしたバランスのとれたポートフォリオで運用する……そんな感じだろうか。
だが、『金持ち父さんのアンフェア・アドバンテージ』(筑摩書房刊)のなかでロバート・キヨサキは、こうしたことは一見リスクを避けたように見えるが、実はそこに大きなリスクが隠れていると説明する。
なぜなら、雇用の保障、お金をためる、借金ゼロ、分散投資されたポートフォリオ、といった言葉自体がすでに矛盾をはらんでいるからだ。
矛盾をはらんだ言葉=オキシモロン
キヨサキが「矛盾をはらんだ言葉=オキシモロン」として取り上げているのは以下のような言葉だ。
1.雇用の保障
2.お金を貯める
3.安全な投資
4.公平な取り分
5.投資信託(ミューチュアル・ファンド)
6.分散投資されたポートフォリオ
7.借金ゼロ
こうした言葉を使う人たちは、その言葉がもつ矛盾に気が付かないために、リスクを避けようとしてかえってリスクを背負いこんでしまう、存在しないものを追い求めることになるからだ、とキヨサキは言う。
なぜこれらの言葉が矛盾をふくんでいるのか、この本の中でひとつひとつ説明している。
「雇用の保障」がはらむリスクとは?
たとえば「雇用の保障」という言葉について、キヨサキは次のように説明する。
雇用が減っている原因の一つにテクノロジーの発達があり、昔は人手によっていた作業が、今は機械によってずっと簡単に行われるようになった。
それとともに、製造業をはじめとして低賃金の仕事が先進国から発展途上国へと流出し、さらにあわせて高給をとれる仕事も絶対量が減った。
そしていま、良く知られているように、失業率の増加は世界各国で問題になっており、こうした流れは今後も続くことだろう。
それなら今後どうすべきかという答えは、それぞれが自分で考えなければいけないことだが、「雇用の保障」という矛盾をはらんだ言葉にあまりしがみついていると、その先の出口が見えなくなる。
一度きりの自分の人生をよりよいものにするために、まずはよく目を開いて、世の中の変化を認識し、その上で何をすべきなのかよく考えることが必要だ。