円の価値はどこまで下がるのか

  1. ついに1ドル=160円を突破か?
  2. 円安の時代が来た
  3. 立て直しのために

ついに1ドル=160円を突破か?

このところ円安がまたジリジリと進み、ドル円は1ドル=160円をいまにも超えそうな勢いだ。

2011年には1ドル=80円前後だったことを考えると、円の価値は半分になってしまったことになる。

だが実はそれだけでは済まない。

6月20日の国際決済銀行(BIS)の発表によると、円の「実質実効為替レート」が2020年を100とすると今年5月は68.65となり、過去最低を更新したという。

4年前と比べると、同じ為替レートだったとしても7割ほどの価値しかないことになるし、さらに言えば、1ドル=360円の時代と比べてさえ円の価値が低くなっているというのだから深刻だ。

この価値の低下は対ドルだけのことではなく、多くの通貨に対して起こっていることも忘れてはならない。BISの指標を見るとインフレで苦しむアルゼンチンに近いところまで落ち込んでいるのがわかる。

円安の時代が来た

こうなると、ある時期言われた「有事の際の円高」などもはや過去のことだし、一時期までの「円が下がれば日経平均が上がる」といった現象も最近では見られなくなっている。

円のいまの価値から考えて、日本経済がかなり厳しい状態に立たされていること、そしてこれからさらに厳しくなるだろうことは認識しておかなければいけない。

こうなった要因として挙げられるものはさまざまあるのだろうが、まずは日本の東日本大震災、アベノミクスという名の異次元の金融緩和、改革の遅滞と景気の停滞、そして世界的に見られるインフレと利上げ、新型コロナによるパンデミック、環境規制や保護主義の強化などが挙げられると、ある専門家は分析している。

日本はアベノミクス(大がかりな金融緩和)で円安に誘導して輸出企業を優遇し株高を演出したものの、実体経済が弱くなったためにコントロールできなくなり、いまや円安に歯止めがきかなくなってしまっているということか。

立て直しのために

テレビやネットに煽られ「日本すごい」と言っていたこの20数年ほどの間にこのような事態まで来てしまったわけだが、ここから抜け出すには根本から日本を立て直すしかないように思う。

昨年度の税収が2年連続で70兆円の大台を超えたというニュースが流れているが、物価が上がればそれだけ消費税の税収も増えるわけで、けっして景気がいいわけではないことは誰しも身に染みてわかっているはずだ。

税負担と社会保険料(これも税金)負担がこれだけ重くなっているのに、一方で実質賃金は2年以上マイナスが続き、こども食堂は増え続け、元旦に地震が起きた能登ではまだビニールハウスで寝起きする被災者がいるし、医療の現場ではごく基本的な薬が不足するといった事態が起きているという。

国会を見ていると政権与党の議員たちは自分たちの地位とカネを守ることにばかり関心が向いているようだが、まずは景気をよくして国民の生活を守るのが政治家の責務だし、それができないなら政権の座を降りるべきではないのか。

私たちも現実から眼をそらさず、まずは何が起こっているのか情報を集め冷静に観察して未来を予測し、少しでも社会がよい方向に変わっていくように働きかけていこう。