VW(フォルクスワーゲン)が問われていること

  1. 日経平均続落の引き金は
  2. インテグリティ(一貫性)とは何か
  3. ブランドという財産価値

日経平均続落の引き金は

シルバーウィーク明けの日経平均は、連休中に各市場が軒並み下げたのを受けた形で、300円を超える大幅続落で始まった。

特にトヨタや日本ガイシなどの自動車株・自動車関連株が売られたのを見ても、やはりVW(フォルクスワーゲン)の不正問題が大きく波及していることがわかる。

ことの発端は、18日に米環境保護局(EPA)が、独フォルクスワーゲンと傘下の独アウディの自動車で大気浄化法違反の疑いが見つかったと発表しVW側がそれを認めたことにある。

アメリカで48万台ほどがリコール(回収・無償修理)を余儀なくされ、さらに当局から2兆円を超える制裁金が科されるという見込みが報じられたが、そうした直接的にかかるお金の問題に加えて、VWという会社のインテグリティ(一貫性)とブランドが問われている。

インテグリティ(一貫性)とは何か

この問題での一番の痛手は、VWが排ガスのテストをクリアするために違法なソフトウエアを使っていたということだ。

つまりVWは嘘をついてごまかしていた、言っていることとやっていることが違っていた、ということになる。

ロバート・キヨサキは『金持ち父さんの若くして豊かに引退する方法』(筑摩書房刊)のなかで、人にとってのインテグリティ(一貫性)の大切さを強調している。

「人は言葉と行いが一致してはじめてそれだけの価値を持つ。言った通りのことをしない人は、大した人間ではない」と、金持ち父さんも貧乏父さんも口をそろえて言っていた。

これは人だけでなく企業の場合も同じで、言行が一致していなければ信頼という大きなものを失うことになる。

ブランドという財産価値

市場での信頼を失えば当然、企業としてのブランドの価値も落ちる。

VWといえばだれもが憧れる信頼のブランドだったが、この疑惑を受けて株価は21日のフランクフルト市場で急落し、CEOのウィンターコーン氏は引責辞職を発表するところまで追い込まれた。

VW株は時価総額の約4分の1、およそ2兆円を失ったというが、この急落は単にリコールや制裁金のためだけではなくブランドに傷がついたことも大きな原因だろう。

ブランドを作り上げるのは並々ならない努力が必要だが、一度傷ついたブランドを立て直すのはそれを上回るものが求められることになるだろう。

私たち自身もまずは人として、またビジネスパーソンとして、みずからのインテグリティとブランドを大切にしていきたいものだ。