「戦後3位の景気回復」だそうですが…

  1. アベノミクス景気が52カ月?
  2. 消費は低迷、エンゲル係数は上昇
  3. つまり格差が拡大しただけ?

アベノミクス景気が52カ月?

4月6日付の日経新聞朝刊の第一面トップに、「景気回復 戦後3位――アベノミクスで52カ月」という見出しの記事が掲載された。

「2012年12月に始まった『アベノミクス景気』が、1990年前後のバブル経済期を抜いて戦後3番目の長さになった。」という文で記事は始まっている。続いて、2008年9月のリーマンショックでの落ち込みが大きかったため、そこからの回復基調がベースとしてあり、加えて円安による企業の収益増や公共事業が景気を支えていると分析する。

景気回復期間を見るには景気動向指数などを使うようだが、これにはたとえば鉱工業生産指数、耐久消費財出荷指数、商業販売額(小売および卸)、(企業の)営業利益、所定外労働時間指数(つまり残業時間)、有効求人倍率などが含まれるという。

消費は低迷、エンゲル係数は上昇

だが、「景気回復 戦後3位――アベノミクスで52カ月」という威勢のいい見出しを見て、「景気がいいなんて一体どこの話だ」と釈然としない気持ちを抱く人も少なくないのではないだろうか。

そうした庶民の実感があながち間違いではないことを示す数字も、また一方で存在している。

たとえば、国民の暮らしぶりを示すエンゲル係数(消費支出に占める食費の割合)が29年ぶりに高水準になっていることや、消費支出が3年連続で落ち込んでいることなどだ。

冒頭で紹介した4月6日付日経新聞の記事も、「過去の回復局面と比べると内外需の伸びは弱」く「実感が乏しい」としている。

つまり格差が拡大しただけ?

景気動向指数に使われる数字に目を通すとわかるように、これらはすべて企業の側から見る数字であり、国民の暮らしぶりは考慮されていない。

4月6日付の日経記事でも、個人消費が消費税増税で大きく落ち込んだあと回復できずにいること示すグラフを掲載している。

国際的に見て日本は最低賃金が低すぎると以前から言われていて、最低でも時給1500円はないと生活できないと指摘され、最低賃金引き上げを求める声も上がっている。

結局のところ、アベノミクスで景気が回復しているのは企業だけで、働く側との格差は広がるばかり、ということのようだが、私たちの国のありかたは本当にこれでいいのだろうか。