金持ち父さんの言葉の意味は?
『金持ち父さんシリーズ』(筑摩書房刊)のなかには、「お金があるだけでは金持ちではない(金持ちとは言えない)」という金持ち父さんの言葉が時々登場する。
この言葉がどういう意味なのかを考えるために、まず、「お金がある」というのはどういうことかを考えてみよう。
ここでひとつ質問だが、「1と1兆はどちらが大きいか?」。
1兆に決まっている、何をバカなことを、と思うかもしれない。
だが、数字としてなら1兆のほうが大きいことは間違いないが、それがお金の価値になると違ってくることがある。
1兆が1よりも価値のない場合とは
ロバート・キヨサキは、よくセミナーで1兆と印刷されたお札を見せ、1兆ドルを持っているから大金持ちだと言う。
だが、すぐに続けて、実はそれはジンバブエドルで、卵がいくつか買える程度の価値だと説明する。
つまり、1兆ジンバブエドルは1アメリカドルよりも価値がないことになるが、それはもちろん、急激なインフレ(ハイパーインフレ)によって通貨の価値が大幅に下がったからだ。
そうしたことは、いろんな国で歴史上何度も起こってきたことで、たとえば第一次大戦後のドイツでもこうしたハイパーインフレが起こり、お金は紙くず同然となったことはよく知られている。
例えば、パンを買うために手押し車に札束をいっぱい積んでパン屋に行った人が、ちょっと目を離したすきに手押し車だけ盗まれ、札束はそのままそこに捨てられていた、といったこともあったようだ。
不換紙幣のリスク
こうした例が示しているのは、ハイパーインフレになるとお金よりも物のほうが価値が高くなるということだ。
そうした場合には、お金は紙くずとなり、「お金があるだけでは金持ちではない」という金持ち父さんの言葉が現実となる。
お金が、金や銀などの貴金属と交換できる兌換紙幣であれば別だが、国の経済力だけで価値が保障された不換紙幣であれば、こうしたことが起こる可能性は常にあることを知っておこう。
そして、自国の経済がこれからどうなるのか、自国の通貨である円はどうなろうとしているのか、常に注意してみていくことも必要かもしれない。
これが、金持ち父さんの言葉の意味を考えるひとつの手がかりとなる。