金持ち父さんの言葉の意味は?
『金持ち父さん 貧乏父さん』(筑摩書房刊)にこんな一節がある。
「金持ち父さんはまだ子供だったマイクと私に、いつも繰り返し『お金は実際には存在しない』と言っていた。」
この金持ち父さんの言葉は、どういうことかわかりにくいと言う人もいるし、目先のお金にあまりとらわれるなという意味だと理解している人もいる。
たしかにこれは、「ポケットにお金を入れてくれるのが資産で、ポケットからお金をとっていくのが負債だ」といった説明にくらべて抽象的な、わかりにくい言葉のように思える。
しかし実は、この言葉はそのままのことを意味しているのだ。
紙幣は金と引き換えられた
いま流通しているお金を銀行に持って行っても、金(ゴールド)や銀(シルバー)などの貴金属に引き換えることはできない。
何をあたりまえのことを言っているのかと笑われるかもしれないが、歴史をさかのぼってみれば、江戸時代の小判は金でできていたし、日本円は昭和6年までは兌換紙幣、つまり銀行に持っていけば貴金属に交換できるお金だった。
アメリカドルも1971年までは兌換紙幣で貴金属に引き換えることができたし、金庫にはそのための貴金属が積まれていた。
しかしそれ以降は、貴金属とは引き換えが出来ない不換紙幣が世界で一般的となり、今やお金というのは画面に表示されるデジタルの数字でしかなくなった。
金持ち父さんの言葉はこうした事実を指している。
紙幣は紙くずになることもある
兌換紙幣の価値は貴金属によって裏書きされていたが、不換紙幣の価値は何によって裏書きされているのか。
それは、その通貨を発行している国の経済力や信用度ということになる。
ということはつまり、国の経済が破綻すれば、その国の通貨は紙くずになる可能性さえある。
一方、国や銀行は裏付けするための貴金属をもたずに、お金を刷ったり貸したりできるようになった。
このような大きな変化は私たちにどのような影響を与えて、私たちはこれをどのように利用することができるのか。
「お金は実際には存在しない」という金持ち父さんの言葉の意味を、よく考えてみてはどうだろう。