お金は実体のないもの?

  1. 紙幣は金や銀の引換券だった
  2. お金がもつ新たな役割とは
  3. さらに銀行がお金を作り出す

紙幣は金や銀の引換券だった

ロバート・キヨサキは初期の著書から一貫して、「お金は実体のないものである」と繰り返し主張してきた。

それは何を意味するかというと、今私たちが使っているお金は不換紙幣であること、さらに最近では単なるデジタル情報、スクリーン上の電子的映像でしかなくなった、ということだ。

不換紙幣とは、「引き換えができない紙幣」という意味だ。

信じられないと思う人もいるかもしれないが、その昔、紙幣というのは銀行にもっていくと金や銀などの貴金属と引き換えられる「兌換紙幣」であり、それだからこそただの紙切れとは違って価値のあるものだった。

だが、アメリカでは1971年にニクソン大統領が突然その金本位制度をやめ、それ以降、紙幣の価値を裏付けるのは、それを発行する国の経済力のみとなった。

お金がもつ新たな役割とは

もともと金銀の引換券だったお金が、そうした具体的な裏付けなしに印刷発行できるようになって何が変わったかというと、お金は政府がそうすると決めれば好きなだけ印刷できるものになった、ということだ。

(お金を発行するのは正確には日銀や連邦準備銀行などだ)

国の経済力が価値の裏付けとなっているのだから、たくさんお金が流通することになれば、それだけお金の単位価値は薄まり下がっていくことになる。

だが現在、たくさんのお金が市場に流通することで景気が刺激され上向くことを期待し、金融緩和措置をとる国が多いが、つい最近9年ぶりに利上げしたアメリカでさえ0.25%という低金利だ。(2015年12月)

また、自国の通貨の価値を下げて輸出量を増やそうとする意味もあるようだが、自国の通貨の価値が下がることは、その国にとってはたしてプラスに働くのだろうか。

さらに銀行がお金を作り出す

お金が不換紙幣になったことで、銀行にとってもお金の持つ意味が大きく変化した。

紙幣が金銀の引換券だったころは、引き換えに備えて銀行は扱うお金に見合う量の金や銀を持っていなければならなかったが、今やその必要がなくなった。

紙幣自体に具体的な裏付けが必要なくなったのだから、当然ながら銀行の貸出にも具体的な裏付けは必要なくなり、銀行は預金残高の何倍もの額(たとえば十倍など)を貸し出せるようになった。

政府も銀行も、まさに手品のように空中からお金を取り出すようなことができるようになったのだ。

さらに、あなたが預けた預金残高をもとに銀行が何倍にもして貸出することで、お金の流通が増えてインフレ傾向に拍車がかかり、あなたのお金の価値が下がることにもなる。

はたしてあなたが銀行にお金を預けることは、誰の得になるのだろうか。