「金持ち父さん 貧乏父さん」は自費出版だった
ロバート・キヨサキの『金持ち父さんシリーズ』の一冊目である『金持ち父さん 貧乏父さん』は、1997年にアメリカで自費出版として世に出た。
この本は口コミでじわじわと広がっていき、翌年には二冊目の『金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント』が出版された。
その後キヨサキがテレビの人気番組オプラ・ウィンフリーショーに出演すると一気にベストセラーとなって全世界へと広がり、日本では『金持ち父さん 貧乏父さん』が2000年に翻訳出版された(その後、2013年に改訂版が出ている)。
世界で3000万部を超えて読み継がれているが、すでに出版から15年以上が経って、内容は古くなっていないのだろうか。
キヨサキが示した基本的構図
『金持ち父さん 貧乏父さん』『金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント』でキヨサキが言っている「資産と負債の違い」「持ち家は負債」「キャッシュフロー・クワドラント」といった基本的な考え方は、決して古くなってはいない。
なぜなら、これらは20世紀後半のアメリカにおける基本的構図を指摘したものであり、それが時間がたつにつれて日本をはじめとするほかの国々に徐々に広がっていったからだ。
その後、社会が産業時代から情報時代へと移行するとともに新たな変化が加わっているが、それはキヨサキが示した基本的構図を塗り替えてしまうわけではなく、その構図の上に積み重ねられていくことになる。
それ以降の変化として何が起こっているかについてもキヨサキは発言し続けているので、シリーズ初期の本と合わせて『金持ち父さんのアンフェア・アドバンテージ』など最近の本も読んでおいたほうがいいだろう。
今、世界にはお金があふれている
1997年以降にアメリカで起こった大きな出来事としては、2000年の911、2007年のリーマンショックがあげられるが、この二つの出来事でアメリカだけでなく世界が大きく変化してしまった。
世界がテロの時代に突入したことが明らかになり、さらに経済がデリバティブによって左右されていることがはっきりしてきた。
経済面での最大の変化としては、キヨサキが『金持ち父さんのアンフェア・アドバンテージ』で指摘しているように、「今、世界にはお金があふれている」ということがあげられる。
なぜなら、「各国政府がこぞって何兆ドルにも値する贋金――不換紙幣とも呼ばれる――を印刷し続けているからだ」とキヨサキは言う。
とても重要なので、このことはよく頭に入れておかなければいけない。これを頭に置いておくことでいろいろと見えてくることがあるはずだ。