あなたのお金は眠っていないか?
金持ち父さんはこう言った。
「個人の経済を家に喩えると、たいていの人は一生かけてせっせとわらの家を建てる。だが、わらの家は風や雨や火事や悪い狼に弱い」
(「金持ち父さんの若くして豊かに引退する方法」(筑摩書房))
この言葉は次のことを意味している。
人が一生汗水をたらして働く理由の一つは、自分のお金より一生懸命働くように教えられてきたからにすぎない。
たいていの人は投資といっても、自分は必死で働きながら、お金を銀行の貯蓄口座や、引退後に備えた口座に単に預けておくことが多い。
つまり、自分が働く一方で自分のお金にも働いて欲しいと思っている。
ところが、株の暴落といった「お金に関る災害」が起こると、預けていたお金は激減してしまう。
たいていの人は金融災害保険とも言うべき手段はまったくとっていないのだ。
金持ち父さんは、ロバート・キヨサキにお金を動かし続ける重要性をこう教えている。
「若くして豊かに引退したいのなら、人より速いスピードで一生懸命働く必要がある。そして、お金にも同じように働かせなければならない。お金を同じところに置きっぱなしにしておくのは、いつ火花が散るか知れない乾燥した枯葉の山を見つめているようなものだ。火花が散れば一瞬にして火の玉になってしまう。」
あなたのお金のスピードは?
キヨサキ夫妻が早くに引退できた理由の一つは、お金を動かし続けていたからだ。
金持ち父さんは、このことを「お金のスピード」という考え方で説明している。
「お金は優秀な猟犬でなければならない。猟犬はきみの片腕となって鳥を見つけ、それを捕まえて戻ってきたら、また走り出し、別の鳥を捕まえて戻ってくる。だが、たいていの人のお金は、逃げて二度と戻ってこない鳥と同じことをやっている」
つまり、若くして豊かに引退するためには、猟犬のようにお金が毎日外に出かけ、どんどん資産を持って帰ってくれるようにすることが大事なのだ。
キヨサキ夫妻がお金を動かし続けるために使った戦略の一つに、不動産市場が低迷していた時期に時間を掛けて投資物件を探して、賃貸用の不動産を購入し、1・2年のうちに、その不動産を担保に頭金を借りて、また別の賃貸用不動産を購入する方法がある。
これは「お金を猟犬のように使え」というアドバイスに従った戦略といえる。
キヨサキ夫妻にとって投資とは、毎日市場と関りを持ち、より多くの情報を集め、実際に経験を重ねながらお金を動かし続けることだ。
多くの人が「長期投資」と思っているような「買い、持ち続け、祈る」といったことはしないのである。
次は、お金を動かし続けることのほかに、いくつか大事な点を紹介しよう。
早く引退するために
ロバート・キヨサキは、お金を動かし続けること以外にお金のスピードに関する重要なポイントとして、以下の3つをあげている
1.投資は明日ではなく、今日すぐに利益を生むものでなければならない。たとえ景気が悪い時でも、どんな資産も買ったその日にプラスのキャッシュフローが無ければならない。「買い、持ち続け、祈る」戦略ではお金のスピードは上がらない。
2.投資家は誰でも市場に参入する前に出口戦略を持っている。新しいタイプの市場に参入する場合は、新しい入口戦略と出口戦略を立てて臨もう。
3.投資家でいることとトレーダーでいることの違いを知っておくことが大事だ。
プラスのキャッシュフローを得るために不動産を購入し、それを持ち続けている時は投資家である一方、入口と出口、両方の戦略を持って取引した時はトレーダーだ。
つまり投資家は持ち続けるために購入し、トレーダーは売るために購入する。若くして豊かに引退したい人は、この二つの違いと、その両方になる方法を知っておく必要がある。
若くして豊かに引退するために重要なことの一つは、お金を動かし続けてお金のスピードを上げることなのだ。