感情をコントロールする
金持ち父さんはこう言った。
「お金は感情にかかわる問題だ。自分の感情をコントロールできなければ、感情がお金をコントロールする」
(「金持ち父さんの予言」(筑摩書房))
ロバート・キヨサキと妻のキムにとって、投資は自由、富、安全を意味するパラダイスだ。
投資にはリスクもあるが、それと引き換えに手に入れられるもののことを考えたら、やってみるだけの価値はある。
悲しいことに、多くの人が、パラダイスに行ったことのない「投資の専門家」からのアドバイスに耳を傾けてしまう。
アドバイスをくれる人が自分が何を言っているかちゃんとわかっていると「仮定」してしまうのだ。
つまり、お金に関することとなると、自分で考えるべきところを「感情」に考えさせてしまう人があまりに多いのだ。
人間の感情は大きな力を持っていて、きちんとコントロールしないと感情に支配された思考は自己実現的な予言になる力を持っている。
つまり「儲けたお金をすべてなくしてしまうのではないか」という感情に支配され始めると、その恐怖という感情に自分たちの運命を決めさせて、全てを失うことになってしまうのだ。
下層・中層の思考レベル
金持ち父さんは、感情のコントロールに関る現象を説明するのに、人間をコントロールする思考には三つのレベルがあると述べている。
それは、下層・中層・上層の三つの思考だ。
金持ち父さんは、
「下層レベルの思考から話をしている人は、『投資は危険だ』とか『損をしたらどうする』などとよく言う。彼らは下層レベルの感情に基づいて話をしているのだ。そしてお金のこととなると、たいていの人は下層レベルの思考からどうしても離れられない」
と述べている。
このような下層レベルの思考から抜け出すには、中層と上層の両方のレベルが必要だ。
金持ち父さんは不動産投資を怖がっていたロバート・キヨサキに対して、不動産投資のセミナーに出るよう勧めた。
理性的頭脳で感情的頭脳を押さえ込んでセミナーに出席したロバート・キヨサキは、その講座に出た後も不安はまだあったが、少なくともそれから先の学習プロセスを始めるための準備はできたと思えるようになったと述べている。
つまり、金持ちになるために要求される、お金に関する実用的な技術を身につけるには、中層レベルの頭脳、つまり理性的な頭脳が必要なのだ。
次は、上層の頭脳について説明しよう。
上層の思考レベル
上層の頭脳とは、経験の頭脳だ。
投資用不動産を買うために何千もの物件を見て、百回近い不動産取引をして、成功しているロバート・キヨサキでさえ、まだ下層頭脳から湧き出る疑いや恐怖が邪魔をする事があると述べている。
しかし、そういった感情が下層頭脳から出てくると、経験の上層頭脳が救援に駆けつけるのだ。
物件を見つけたり、買ったり、売ったり、管理したりするプロセスをこれまでに何度も繰り返してきた経験が、恐怖や疑いでいっぱいになっている下層頭脳をなだめ、もっと安心するために必要な新しい情報やアドバイス、教育を見つけてくるように中層頭脳に指令を出すのだ。
真の投資家で無い人は、下層頭脳から湧き出る感情にがんじがらめにされた時、そこから抜け出すために必要な、中層頭脳における実用的技術も、上層頭脳における長年の経験も持っていない。
だから最終的に下層頭脳が我がもの顔に振舞うのだ。
だが、ファイナンシャル教育を身につければ、下層頭脳に人生を支配されたりせず、人生をよりよいものにするために恐怖や疑いの感情を利用できるようになる。
ロバート・キヨサキにとって、投資に対する恐怖をコントロールするのを助けてくれたのは、9歳の時に始まった金持ち父さんによるファイナンシャル教育だった。
教育と経験のおかげで恐怖を小さくして、経済的自由を手にしたのだ。
自分の感情をコントロールするということは、将来の経済状態をコントロールする力を手に入れると言うことなのだ。