お金を眠らせない「休眠預金活用法」

  1. お金に働かせよう
  2. 休眠預金は銀行の収入になっていた
  3. 個人の財産は侵害されない?

お金に働かせよう

ロバート・キヨサキは「金持ち父さんシリーズ」(筑摩書房刊)のなかで、自分が働くだけでなく、「お金に働かせなければならない」と繰り返し言ってきた。

これはつまり、金持ちになりたいなら稼いだお金を銀行の口座にただ貯めておくのではなく、そのお金を投資やビジネスにまわしてさらにお金を生み出すようにする必要がある、ということだ。

私たちはどうしても「お金を貯める」ことに意識が行きがちで、その貯めたお金をどう働かせるか、というところまでなかなか頭が働かない。

そのせいか、銀行で長年眠っている口座にかなりの額の預金が残っているということで、それをNPOなどの活動に回せるようにする「休眠預金活用法」が今の国会で成立した。

休眠預金は銀行の収入になっていた

銀行はこれまで、10年のあいだ出し入れのない銀行口座の残高が1万円以上であれば名義人に問い合わせを郵送し、返事がなければそれを銀行の収入としていたという(残高1万円未満であれば問い合わせは省略)。

「休眠預金活用法」とは、このお金を銀行の収入とはせずに預金保険機構に移し、公益活動にたずさわるNPO法人などを公募して、助成したり貸し付けたりすることができるようにするという法律だ。
年間にすると、休眠預金は全銀行あわせて総額500億~600億円くらいになるという。

運用が軌道に乗るのか、利権の温床とならないかなど今後の課題はあるが、銀行で眠っていたお金が働き始めることになるのは確かだろう。

個人の財産は侵害されない?

気になるのは、自分の休眠口座のお金が預金保険機構に移されたあとにそのことに気が付いた場合お金は戻ってくるのか?ということだが、それは銀行に申し出ればこれまでと同様に返ってくるとのことだ。

ほっとするとともに、個人の財産なのだから守られるのは当然だろう、という気がするが、実はそういうものでもない。
戦争中は徴用といって土地や建物など個人の財産を国家や軍が有無を言わさずに使っていたし、通貨切り替えや預金封鎖などでお金が価値を失ったり自由に使えなくなるということも起こるので、要注意だ。

「お金が突然、紙くずになる日」でも書いたように、戦後すぐの日本でもそれは起こったし、いまインドでは同じようなことがまさに進行中なのだから。