さらなる円安が来るのか

  1. 円安で値上げの嵐
  2. 日銀黒田総裁は円安を容認
  3. 給与は上がらないまま消費税は19%を目指す

円安で値上げの嵐

このところ、食料品をはじめとして生活必需品が軒並み値上げになっているのは、みなさんも日々実感していることだろう。

ガソリンや小麦関連といった直接分かるものだけでなく、家畜の飼料や農作物の肥料までもが大幅値上げになっているようなので、この先どれだけ生活費が値上がりしていくのか、ちょっと予測がつかない。

その要因としてはウクライナ情勢や新型コロナの蔓延もあるだろうが、円安で日本の購買力が下がっていることが大きいと言えるだろう。

流通の現場では、このまま円安が続くと日本は買い負けて必要な物が海外から入ってこなくなるのではないか、あるいは、すでに良質な肉などが海外へ買われていき国内に流通しなくなっている、といった懸念の声が上がっている。

日銀黒田総裁は円安を容認

6月6日、日銀の黒田総裁が講演のなかで現在の円安を容認する発言をし、「日本の家計の値上げ許容度も高まってきている」と述べたと報じられた。

国内ではこの発言に反発する声が上がっているが、これが更なる円安と更なるインフレの引き金となるのではないか、政府与党はそれを黙認するつもりなのではないかと心配になる。

インフレとは、物価が上昇し貨幣価値が下落する状態を言うが、その場合は当然賃金も物価にほぼ比例して上昇することになる。

だが日本の現状は、賃金がほぼ横ばいで(あるいは減少し)物価だけが上昇しているわけで、黒田総裁も講演の中で「家計が値上げを受け入れている間に、良好なマクロ経済環境をできるだけ維持し、賃金の本格上昇につなげていけるかが当面のポイントだ」と述べている。

それどころか、値上げラッシュが報じられる中、年金の減額通知を受け取ってショックを受けたという高齢者の声も聞こえている。

給与は上がらないまま消費税は19%を目指す

5月末、政府は経済財政運営の基本方針(いわゆる「骨太の方針」)をとりまとめ、岸田首相は金融資産の「貯蓄から投資への移行」を進めて資産所得倍増を目指すと表明した。

だが、十分な資金の余裕のない場合は投資など出来ないし、無理をしてまで投資するべきではないだろう。

さらに今の経済状況のままで、余裕資金が投資に回ったとしても、結局は海外の株式市場へ日本円が流れるだけでは? という疑問も出てくる。

この30年間、国民の給与所得はほぼ横ばいで上がらず、国民負担率(所得に占める税金や社会保険料の割合)は50%にジリジリと近づき、老後の資金は自己責任で用意をと言われ、消費税はいずれ19%まで引き上げられる予定だという。

はたして払った税金は適切に使われているのか?日本は本当にこのまま進んでいっていいのか?7月10日に予定される参議院選挙を前にじっくりと考えてみたい。