1ドル135円に到達
6月6日の黒田発言が報じられてから円が対ドルで1日1円くらいの割合で下がっていき、ついに24年ぶりに1ドル135円に到達した。ここ半年で20円以上も下がったことになる。
この円安の動きは黒田氏の発言が引き金となり、日本は円安に歯止めをかけるつもりがない(あるいはその手立てがない)と思われたからだと言えるだろう。
アメリカが金融引き締めを行う一方、日本は金融緩和のままで金利差が広がっているのが原因だが、このまま1ドル150円近くまで行くのではという見方さえ出ている。
日本の中央銀行の総裁が安易に円安容認発言をするのは、それだけ重いことだとわかって発言しているのか、問いただしたい気がする。
自身が安倍政権とタッグを組んで行ってきたアベノミクスを肯定したい、という自己保身が先走り、国内情勢以外のことが目に入らなくなっているのではないかとさえ思う。
参議院選挙とその争点
さて、テレビのニュースなどではなぜかあまり報じられていないようだが、7月10日に参議院選挙が行われる。
大きな争点は、自民党などが掲げる「憲法改正」の是非と、消費税など税金徴収の問題、防衛費予算など税金の使われ方になるだろうと言われている。
消費税についてすでにネット上などでは、「今回の参院選で自民党が圧勝すると消費税が19%に上がる」「岸田首相が消費税を19%にと発言したと言われるがそれはデマだ」といった情報が飛び交っているようだ。
今の情勢ですぐに消費税が上がることはないにしても、経団連や経済同友会が過去に消費税を19%~20%まで上げて法人税を下げるべき、といった提言をしている事実を見れば、財界と近い自民党がどこを目指しているかは明らかだろう。
また、これまで自民党が消費税増税の際に言ってきた「消費税収はすべて福祉に使います」が事実とは異なり、結局は法人税減収の穴埋めになっていることも把握しておきたい。
インボイス制度の導入
今回の参院選のもうひとつの焦点として、インボイス制度の導入をあげる人もいる。
これについては昨年末にも「インボイス制度ってなに?」で取り上げたが、この制度は煩雑で手間がかかり、中小企業や自営業者には大きな負担となるため、税理士団体などから延期や凍結を求める声が上がっている。
これが導入されると、税務署に申請してインボイスを発行する事業者として登録する必要があり(それをしないと取引先を失う可能性がある)、登録された情報は公開されてだれでも見られるようになる(個人事業主の本名・住所なども含む)。
また、これまで消費税を免税されていた課税売上高1,000万円以下の事業者からも、赤字の場合であっても消費税を徴収することになるので、街場の飲食店などの零細業者が軒並み廃業するのでは、と危惧されている。
7月10までまだ時間があるので、じっくりとこうした問題について考えてみてほしい。