プロの買い物客になる
ロバート・キヨサキは「金持ち父さんの若くして豊かに引退する方法」(筑摩書房刊)のなかで、よく人にこう聞かれると言っている。
「どうすればいい投資物件を見つけられますか」
これに対するキヨサキの答えはこうだ。
「他の人には見えないものが見えるように頭の訓練をすることです」
「そのためには、買い物をする人がいい品物を見分けなるようになるのと同じで、プロの買い物客になる必要があります」
金持ち父さんはよく童話を教材に使ったが、ハンサムな王子様を見つけるためにカエルにキスをしなければならなかったお姫様の話はお気に入りだった。
「どれが王子様か知るためには、たくさんのカエルにキスをしなければならない」と金持ち父さんは言った。
100:10:3:1の方式
このたとえを使って金持ち父さんが言っているのは、投資や未来のことを決める前に、十分な時間をかけて検討し、慎重に選ぶ必要があるということだ。
キヨサキは優良な投資先を見つけるために、「100:10:3:1」方式を実践していると言っている。
その方式とは、100の物件を検討し、そのうちの10に買付申込をし、さらにそのなかの3人の売り手がその条件でいいと言ったら、そのうち1つを買うというものだ。
つまり、1つの物件を買うためには100以上の物件を見なければならないことになる。
キヨサキは実際に毎年何千もの不動産を見て、何百もの買付申込をしてきたが、今では千戸以上の賃貸住宅を所有している。
失敗から学ぼう
キヨサキの友人にこんな人がいた。
たった二つの物件を見ただけでそのうちの一つを買い、毎月損失が出るのに腹を立てて「不動産投資なんて最低だ」と言っているというのだ。
キヨサキに言わせれば、この人はまず、買う前にもっとたくさんの物件を見るべきだったし、その物件の相場や賃貸に出した時の家賃相場も調べるべきだった。
そしてなにより、この取引に腹を立てるのではなく、この失敗から学ぶべき教訓を学び、今後に生かすという姿勢を身につけることが必要だ。
失敗をしてもそこから何も学ばないのなら、人は進歩しないままで終わり、その体験が無駄になってしまうからだ。
不動産投資物件を見るときにはどのような点に気をつけ、何を知ってどのように評価しなければならないのか、そこが見分けられるようになる必要がある。
また、その物件の何を改善できるのかも見通せる、いい買い物客にならなければならないとキヨサキは言っている。
気軽に買い物に出かけて、たくさんのカエルにキスをしよう。