お金の教育の問題点
ロバート・キヨサキは、『金持ち父さんのアンフェア・アドバンテージ―知っている人だけが得をするお金の真実』のなかで、ファイナンシャル教育が大切だと繰り返し言っている。
しかし実際のところ、ファイナンシャル教育、つまりお金についての教育は、日本の学校ではほとんど行われていない。
自分のことを考えてみると分かるように、お金については親や周囲の大人の言動からいつのまにか学んできた人が大半だ。
「アメリカでは、小学校から投資教育が行われることもあるようだが、そこにも実は問題がある。それは、今行われている投資教育は主に株式売買のやりかたなどを教えているからだ」とキヨサキは指摘する。
なぜそれが問題だとキヨサキは言うのだろうか。
株式投資は始めやすいが、株価はコントロールできない
キャッシュフローゲームでもわかるように株式投資は少額の資金で始められるし、実際の取引でもネットなどで手軽に売買が成立するので、まず株式投資から始める人が多い。
けれども、株価をコントロールすることは個人の投資家にはほとんどできないので、変動する株価をただ眺めていて売買することになる。
キヨサキに言わせれば、そうした行為は「投資」ではなく「トレーディング」であり、安く仕入れて高く売ることで利益を出す行為でしかない。
さらに、株の銘柄はよくわからないし株価の変動が怖いので専門家に任せたい、と思う人は投資信託を選ぶことが多いかもしれない。
そうした場合、当然のことながら専門家への支払い分が引かれるため、もし値上がりして利益が出たとしても手元に残るものはそれだけ少なくなる。
また、ポートフォリオという考え方だと、どうしても株式や債券などの「紙の資産=ペーパーアセット」ばかりに目が行きがちとなり、ほかの投資に関心をもつ機会が少なくなるという問題もある。
キャピタルゲイン狙いになりやすい
とりわけキヨサキが懸念しているのは、株式投資が主になっている場合、どうしてもキャピタルゲイン狙いになりやすいことだ。
なぜキャピタルゲインが主だとよくないと考えるのか。
それは、キャピタルゲインを狙った場合、その投資は安定的なものとはならず、利益が出ても一時的で、市場の暴落などで大きな打撃を受けることになるからだ。
「お金の世界とファイナンシャル教育において、一番大事な言葉はキャッシュフローだ」とキヨサキは金持ち父さんに教えられてきた。
ビジネスのあるべき姿を示したB-Iトライアングルの図でも、その基礎となっているのは「キャッシュフロー」、安定して入ってくるお金の流れだ。
株式投資などキャピタルゲインを目的とした投資から始めた人も、どうしたら安定的なキャッシュフローが得られるようになるか、自分に何ができるのか、一度考えてみてはどうだろうか。