トランプ新大統領は何を目指すのか

  1. いよいよ新大統領誕生
  2. トランプ vs グローバリズム
  3. オバマケアの見直し

いよいよ新大統領誕生

1月20日、アメリカのワシントンD.C.で新大統領の就任式が行われた。

テレビなどでは、新大統領誕生を祝うために集まった人数がオバマの時に比べてずっと少ないとか(ワシントンD.C.でのトランプの支持率が極端に低いことが一因とも言われる)、全米で女性たちが反トランプのデモをしたとか、支持者に配った記念品や売られていたトランプ支持の帽子が中国製だったとか、そういうことに焦点をあてた報道が多いように思う。

だが、すでにトランプは動き出している。

トランプとロバート・キヨサキの共著『あなたに金持ちになってほしい』『黄金を生み出すミダスタッチ』、そしてトランプ著の新刊『タフな米国を取り戻せ』(いずれも筑摩書房刊)に書かれているトランプの主張と就任後の行動をつきあわせると、トランプの考えと行動はブレていないことがよくわかる。

トランプ vs グローバリズム

『あなたに金持ちになってほしい』はトランプとキヨサキが共通に持っている懸念、アメリカの中流層がどんどん貧しくなっていくことに対する懸念をもとに書かれた。
『黄金を生み出すミダスタッチ』は、米国内の雇用が減っている現状を憂い、起業の大切さをメインにおいて書かれている。
そして、『タフな米国を取り戻せ』はオバマが大統領に再選された2012年の大統領選に向けて書かれた本なので、オバマとの政策の違いが鮮明にわかる。

このなかで強調されていることの一つは、行き過ぎたグローバリズムからアメリカの産業と労働者を守ることの大切さだ。

大統領就任演説のなかにも、「保護主義こそが偉大な繁栄と強さにつながるのです」という一節があるのだから(この一文はNHKの大統領就任演説の訳文からは当初抜け落ちていたが、その後、視聴者からの指摘で追加された)、当然、TPPは見直しとなるだろう。

オバマケアの見直し

もうひとつ、大きな課題はオバマケアの見直しだ。

「医療保険に入っていなかった人が入れるのだから、オバマケアは素晴らしい」と思っている人も多いようだが、加入者が増えたこともありこのまま運用していくと今年の保険料が25%UPから最大3倍になるかもしれない、という試算が出されている。

トランプは大統領就任後すぐにオバマケア廃止の大統領令に署名、代わりに薬価の引き下げなど医療費や保険料自体の抑制のための政策を打ち出していくようだ。

「変わった髪型をした政治には素人のワンマン大統領」として扱われがちなトランプ大統領だが、日本のこれからを考えるうえでも、その言動には注目していきたいものだ。