マイナポイント第2弾は5月まで延長
デジタル庁がその普及を至上命題としているマイナンバーカードだが、その取得率は2月13日時点で61.6%だという。
思ったほど伸びていないということなのか、2月末までとしていた「マイナポイント第2弾」が5月末まで延長されることになったそうだ。
「マイナンバーカードの新規取得等で最大5,000円分、健康保険証としての利用申込み、公金受取口座の登録で、それぞれ7,500円分のマイナポイントがもらえる!」というのがその内容。
ただし、この2万円分のポイントをもらってマイナンバーカードを作るのと引き替えに、国が金融機関から自分の預金口座などの情報を提出させることを了承したことになる、といったことがマイナポータルの利用規約に書いてあることは理解しておいたほうがいいだろう。
マイナンバーとは何か?
再度の確認になるが、マイナンバー(正式名称は個人番号)とは、日本に住む人一人一人にあらかじめ国が割り振った12桁の番号のことだ。
この番号は外国籍の人も含めて日本に住民票のある人に国がつけるもので、日本国籍でも国外に住所を移すと失効し、国内に戻ると同じ番号が使われるという。
マイナンバーカード(マイナカード)を取得しなくてもすでに私たちには番号がつけられており、役所の手続き等でその番号を使うのも義務ではなく任意であると法律によって決められている。
ひとつの番号にあらゆる情報を集めそれを多面的に活用できるようにしよう、というのが制度設計の眼目らしいが、情報をまとめればまとめるほど漏洩したときのダメージが大きくなるという事実を国はどう考えているのだろうか。
ともあれ、マイナンバーの利用は任意だという建前だから、国は「マイナカードを作れば最大2万円のポイントが」というアメをちらつかせて普及をはかり、それでも進まないのでこんどはムチを出してきた。
健康保険証の廃止と給食無償化からの排除
国は「紙の健康保険証は2024年秋をめどに廃止するからマイナンバーカードを作って健康保険証として利用するように」と言い、マイナカードを持ちたくない人には紙の「資格確認証」を新たに発行すると言い出している。当初はこの「資格確認証」を有料とする案も出ていたが、批判が相次いだため無料にするらしい。
だが医療現場では、マイナカードを健康保険証として病院で出した人が、データが読み取れなかったり、登録されたデータがまちがっていたりして受診できないというトラブルもしばしば発生しているようだ。利用の際には暗証番号が必要になるため、認知症の場合などもトラブル発生が容易に想定される。
さらに、岡山県の備前市では市長が、「これまで無償だった保育園・こども園の保育料や小中学校の給食費などを、2023年度から世帯全員分のマイナンバーカード取得を条件とする」と表明し、非難が集まっている。
そしてこの市長の表明は、国がマイナカード普及率で地方交付税交付金の額を決めるとしていることが影響しているのだろう。
国も自治体も、こんなムチを国民に向けてはいけないはずだ。