ラットレースとは何か

  1. 支払いに追われる生活
  2. もっと消費せよとCMは呼びかける
  3. 本当に望む生き方を選択しよう

支払いに追われる生活

ロバート・キヨサキの著書『金持ち父さん貧乏父さん』(筑摩書房刊)を初めとする「金持ち父さんシリーズ」は、世界で3000万部以上、日本で340万部を超えて読まれている。

この本のなかで使われたことで広く知られるようになった言葉として、「ラットレース」や「不労所得」があげられるだろう。

ネット上でこの本のレビューなどを見ると、人によっては、「ラットレース」という言葉は労働者が働く様子を表現していて、つまりキヨサキはまじめに働くことを馬鹿にしていると解釈しているようだ。

しかしそれはまったくの誤解であり、キヨサキは人が汗水たらして働くことを馬鹿にするために「ラットレース」という言葉を使っているわけでは決してない。

キヨサキが「ラットレース」という言葉で表現しているのは、いくらたくさん稼いでもそれを消費にまわしてしまうために支払いに追われる生活から脱することができない状態のことだ。

彼はそういう生活から脱出できない人のことが気がかりで、警告している。

あなた自身、あるいはあなたの周りの人は、こういう状態に当てはまってはいないだろうか。

もっと消費せよとCMは呼びかける

たとえば、昇進して給料が上がったとする。

「ちょっと余裕ができたから」「毎日がんばってる自分へのご褒美に」と、あなたはいままで我慢していたものを買う。

それは、ブランドもののバッグかもしれないし、高級腕時計かもしれないし、車かもしれない。

あるいは、転職に成功して以前から望んでいた会社に入り、前よりも格段にいい条件で給料が支払われることになったとする。

「この際、いいマンションに引っ越して、家具も新しくしよう」と考えてその通りにしたとしても、なんの不思議はない。

私たちの周りには、もっと消費するようにと呼びかけるCMがあふれているし、お金を出せばそれだけいいものが手に入る。

だが、高級なものを買えばメンテナンスにもそれだけお金がかかるし、ローンやクレジットカードの分割払いで買えば余分な利子も払うことになる。

そしてさらに新しい高級品がほしくなる。

本当に望む生き方を選択しよう

ただ、キヨサキはぜいたくを否定しているわけではないことも付け加えておきたい。

彼自身、車も何台も持っているし、高級腕時計も大好きだ。

要するに、彼が言いたいのは、自分が手にしたお金をどのように使おうとしているのか、きちんと理解してから行動せよ、ということだ。

せっかく稼いだお金と自分に与えられた時間を何のためにどのように使うのか。

いまの生活は自分が本当に望んでいるものなのか、そうした生き方やそうした社会のありかたがいちばんいいと考えているのか。

手にしたお金と時間を使うことで、人は自分の生き方を日々選び取っていることを意識して過ごしたいものだ。