介護保険という難問

  1. 差し押さえ処分が2万人超え
  2. 施設利用料負担の引き上げ
  3. 労働条件の厳しさ

差し押さえ処分が2万人超え

介護保険料を支払えずに、地方自治体から差し押さえの処分を受ける高齢者が増え、2019年度には2万人を超えたというニュースが流れている。

公的年金を受け取っている高齢者の場合、原則として介護保険料は年金から天引きされるので、保険料の未納は起こらない。

だが、受給している年金の総額が年間で18万円以下の場合は、保険料が年金額を上回るため、自治体に直接納めることになるのだという。

介護保険制度が始まって20年ほど経つが、その間、保険料が倍以上になったこともあり、滞納者が増えてしまったということのようだ。

施設利用料負担の引き上げ

日本はかなりのスピードで高齢化が進んでいるため、介護保険法は3年ごとに改正されて、保険料が引き上げられている。

一般に、社会保険料を滞納すると取り立てが税金以上に厳しいと言われるが、そもそも年金受給額を超えた社会保険料を支払うことは現実問題として可能なのだろうか。

そして、差し押さえ処分を受けた2万人の高齢者は、その後支障なく暮らしているのだろうか、という疑問も湧いてくる。

もう一つ、法律の改正に伴い、この8月から利用者の一部に対して、介護施設の利用料負担が大幅に引き上げられたことも話題になっている。

人によっては月の利用料が1.5倍近くにも跳ね上がったという例もあるようで、SNSなどで驚きと嘆きの声が上がっている。

労働条件の厳しさ

一方で、介護施設で働く人の賃金は低く抑えられて、これでは生活していくのにギリギリだという現場の不満が大きいようだ。

低賃金だけでなく、夜勤がワンオペ前提でシフトが組まれている場合が多いなどといった労働条件の厳しさもあって、離職率は高いという。

はたしてこのような条件で安定した施設運営ができるのだろうかと不安になる。

介護問題などまだまだ他人ごとで考えたこともないという人も多いだろうが、今後の日本社会の課題として頭に入れておく必要があるかもしれない。