30年間、賃金が上がっていない国

  1. 社会が不安定になっている
  2. 国民負担率は46.1%に
  3. 女性の貧困があきらかに

社会が不安定になっている

10月31日に行われた衆議院議員選挙の開票速報のさなか、東京の京王線車両内でナイフで何人もの人を刺し放火したという事件が報じられた。

犯人は24歳の男性で現行犯逮捕されたが、「今年6月ごろに仕事で失敗し、友人関係もうまくいかず、2人以上殺して死刑になりたかった」と供述しているという。事件の一報を聞いてだれもが思い浮かべたとおり、8月に別の路線で起こった同様の事件を真似たとも語っているらしい。

ロバート・キヨサキも「金持ち父さんシリーズ」のなかで指摘しているように、経済格差が拡大し閉塞感が広がると、犯罪が増え社会が不安定になる。

国民負担率は46.1%に

最近あちこちで話題に上るようになってきたが、日本はそもそもこの30年ほど賃金がほとんど増えていない。

その一方で、個人にかかる税金と社会保険料は上がっている。

国民の所得に占める税金や社会保険料などの負担の割合を示す「国民負担率」は、2021年度は46.1%となると先日報じられた。

税金が高くてもその分だけ公共サービスとして還元されているなら不満はないが、そうなっていないのではないだろうか。

何のために税金を払っているのか、取られるだけでサービスは受けられない仕組みなのか、と首をかしげたくなるような現実だ。

女性の貧困があきらかに

また、コロナ禍による不況で、とりわけ女性は貧困に陥りやすいことも浮き彫りになってきている。

コロナの影響で失業し、ホームレスになった女性が路上で殺されるという痛ましい事件があったのを記憶している人も多いだろう。

時短営業や休業によって飲食や宿泊などの業種は大きな打撃を受けているが、こうした業界は女性就業者が多く、もともと賃金が低くて非正規比率も高い。

そもそも女性は家庭内で、子育てや介護や家事など家族のケアを負担する割合が高いため、賃金労働をするには何かと不利になることが多いのも一因だろう。

個人として経済的に自衛することはもちろんだが、同時に、苦境に立たされた人を支えるための社会づくりが必要だと強く感じる。