閣僚ドミノ倒し
2022年10月3日から69日間の予定で第210回臨時国会が開かれている。
以前は国会が開かれるとNHKで必ず長時間中継をしていたが、最近かなり減っているのは、ネットで見られるからということらしい。
今回の臨時国会で注目されている課題としては、防衛予算の倍増を目指す来年度予算、それに伴う増税、消費税免税業者廃止を意味するインボイス制度の導入、介護保険制度の見直し、マイナンバーカードの問題、旧統一教会などカルトによる被害者救済新法の制定など、さまざまある。
だが現状は、何人もの閣僚に次々と旧統一教会との癒着が明らかになり、岸田内閣はずるずると辞任・更迭を先延ばしにしているため、なかなか審議がスムーズに進まないようだ。
国民負担率は50%に近づく
税金の集め方使い方に関して言うと、当初噂されて反対の声が上がっていた自動車の走行距離課税は、どうやら検討されないらしいことが答弁のなかで明らかになってきた。
これと同じくらい反対の声が大きいのが、介護保険制度の見直しだ。
自公政権はこれまで、消費税の税収は社会保険に全額使いますと言ってきたが、実際には消費税増税のたびに法人税率が引き下げられてきたことは多くの人が指摘している。
消費税率とともに社会保険料はじりじりと上がる一方で、税金と合わせると国民負担率(国民全体の所得に占める税金と社会保障費の負担の割合)は50%に近づいている。
受けられるサービスはというと、国民皆保険制度は維持されているものの健康保険の本人負担割合は上がり、今年の夏からはすでに介護保険施設での食費負担分などが大きく引き上げられて利用者の家族からは悲鳴が上がっている。
要介護1、要介護2とは
介護保険制度というと「高齢者にばかり手厚くする必要はない」といった論調が見られるが、介護保険はむしろ高齢者の家族などの負担を軽くするものだととらえた方がいいのではないかと思っている。
今回の見直しで介護保険制度からはずされようとしている要介護1、要介護2と認定されるのは、たとえば歩いたり動いたりするのは問題ないが認知症がある人などがあてはまる。
あるいは、適切なリハビリが受けられれば、まだまだ状態を悪化させないで生活を維持できるはずの高齢者も含まれる。
こういう人が介護保険制度からはずれると、それぞれの家庭で世話をすることになり、だれか一人、あるいは複数の家族が事故が起こらないようにつきっきりで見ていなければならなくなる。
当然、世話をする家族は離職しなければならなくなるが、介護される人(親)が70代80代なら世話をする人(子)は40代50代あたり、自分の子(孫)の教育費がめいっぱいかかる時期だろう。もしかしたら、未成年の家族のなかから新たなヤングケアラーが誕生してしまうかもしれない。
こうした方向で本当にいいのか、政府は介護現場の声をよく聞いて慎重に検討してほしいと願う。