下落幅で過去最大、下落率で歴代2位
8月に入って為替が急激に円高方向に動きだし、日本株が大幅下落を始めた。
8月5日月曜日には1日でドル円が1ドル=145円台から141円台へと4円も動き、日経平均株価は終値で-4,451円 (-12.4%)と暴落した。
日経平均株価の下落幅としては過去最大、下落率では1987年10月19日のブラックマンデーの翌日についで歴代2位だという。令和のブラックマンデーと言う人さえ出てきたようだ。
こうした動きは報道にもあるように、7月末に日銀が0.25%の金利引き上げに踏み切ったこと、発表された米雇用統計の数字が思わしくなかったこと、アメリカの金利引き下げが予想されることなどが重なって起きたのだろう。
アベノミクスと円キャリートレード
元々はと言えば、いわゆる”異次元の金融緩和”によって金利をマイナスにまで引き下げて円安に誘導し、株高を演出してきたアベノミクスから生じた当然の帰結であり、もしも日銀が今回利上げに踏み切らなかったらあらゆる通貨に対しての円安が更に進むことが容易に予想されたため、日銀としては他の選択肢はなかったと思われる。
ここまで円安が進んできた理由(そして今回急激に円高に振れ株価が下落している理由)は円キャリートレードとその巻き返しにあると言われている。
円キャリートレードとは、実質金利ゼロだった円で資金を借りてそれを例えばアメリカ株に投資するといったやり方で、機関投資家も行っている一般的な取引だという。
いったん円の金利が上がれば当然ながら利払いが増えるし円も上がるため、円キャリートレードを行っていた多くの投資家は投資ポジションを解消せざるを得なくなり、売りが殺到するために株価が急落して苦しい立場に追い込まれることになる。
暴落と利上げの影響
今回、各国の株価や為替だけでなくビットコインや金の価格も急落したようだ。多くの市場で投げ売りが行われたということだろう。
翌6日の前場では前日の反動で一時、日経平均株価が3400円超と過去最高の上昇を記録した。しばらくは円相場の動きに伴って株価の乱高下が続くのだろうか。
ロバート・キヨサキはこうした暴落の時がお買い得の品を買ういいチャンスだと繰り返し言っているが、今回もX(旧twitter)でこう発言した。
「暴落が起きた時に勇敢な者が金持ちになる。臆病者は市場から出て行くか何もしないままだ。勇気を出して、冷静に、臆病者が辞めていくときに投資しよう。用心しながらだ」
(キヨサキのアカウントは @therealKiyosaki )
これに同意して行動するかどうかは、それぞれが自分の心とよく相談して決める必要があるだろう。
だが、市場に残るか市場から去るかは自分で選ぶことができるのに比べ、だれもが巻き込まれる可能性があるのはこれからの世の中の動きだ。
今回、日本は2年以上も実質賃金がマイナスと景気がよくないままに利上げに追い込まれたわけで、中小企業などの倒産に拍車がかかり、消費も投資も全般的に冷え込み、経済が悪化していくのではないかという懸念の声が聞こえる。
さらに世界情勢を見ると、ウクライナの劣勢が明らかになり始め、イスラエルとイランの間で戦争が始まりそうなのに加えて、ロシアを中心としたBRICs加盟国が増えている。
こうしてアメリカの立場が目に見えてゆらいでいるのも日本に大きく影響しそうだ。日本がアメリカの代理で戦争に引きずり込まれる日が来てしまうのか。そうならないことを祈る。