すべての世論調査で不支持が急増
岸田内閣の支持率は急カーブで下がり続け、9月19日に発表された産経・FNN合同世論調査を加えると、マスコミが行うすべての世論調査で不支持が支持を上回る結果となった。
この支持率急落の理由は、安倍元首相や自民党議員と統一教会との関わりが少しずつ明らかになっているなかで、世論の反対を押し切って安倍元首相の国葬を行おうとしていることなのは明らかだろう。
それに加えて、東京オリンピックパラリンピックのスポンサー企業の選定をめぐって贈収賄が行われた疑いが色濃くなっていること、またその中心にいたとされる組織委員会の高橋元理事に対し、安倍元首相が捕まらないようにするからと言ってオリパラ招致を依頼したことなどが報じられたのも影響しているかもしれない。
そうした故・安倍氏や自民党のありかたが問題視されているにもかかわらず、自民党総裁でもある岸田首相がこれからその課題にどう取り組んでいこうとするのかがはっきりと示されないことで国民の不信感がつのり、この数字となって現われていると言えるのではないか。
加速する円安と低迷する賃金
それと同時に円安傾向も進み、1ドル145円を超えるかどうかが当面の山だと言われるところまで来ている。
9月15日には、生活用品大手のアイリスオーヤマが約50種類の製品の生産を中国・大連から国内の工場に移すことを決めたというニュースが流れた。
以前から海外での製造の採算分岐点が1ドル150円あたりだと言われていたので、ついに来たかという感じではある。
ただ、これは為替の問題だけではなく、日本の賃金が長期的に下落していることも関係していると思われる。
つまりは、日本の賃金水準が東南アジア諸国のなかで低くなってきたことを意味するわけで、製造業が国内に戻ってくると単純に喜んではいられない、ということだ。
自民党は労働力不足を海外からの実習生や学生で補おうと考えているが、実習生制度の劣悪さという問題以前に、これでは優秀な人手を確保することは難しくなっていくだろう。
アベノミクスとは何だったのか
安倍元首相の在任中はアベノミクスが盛んにもてはやされたが、アメリカの利上げでダウ平均株価と為替の先行きが微妙になってきた今、もはやそれも聞かれなくなった。
輸出産業のためと言われて進められてきた円安だが、そのせいで30年ぶりにドル建てGDPは30兆ドルを割り、いまや円を元の水準に戻そうにも手立てがないように見える。
安倍元首相は在任中、日経平均を気にしながら政治をしていると言われていたが、円安誘導も年金基金の株式運用も日銀オペも、日経平均株価が上がったように見せるためのいわば「粉飾決算」のようなものではなかったのかという気さえしてくる。
非正規雇用を自治体職員にまで広げて人件費を減らしたように見せ(実は人材派遣会社に儲けさせ)、水道のようなインフラや大学の基礎研究や文化施設にまで採算性を求めて予算を削り、本当なら力を注ぐべき少子化対策はかけ声だけで無策のままだ(税制を見るとむしろ悪化している)。
株価を指標として、目先の数字だけを追う「改革」が日本の今の貧しさを生み出してきたのではないだろうか。