内閣支持率が急落

  1. 不支持が支持を上回る結果も
  2. 議論を封じた閉会中審議
  3. 自民党の調査は不十分

不支持が支持を上回る結果も

9月中旬に入って行われた最新の世論調査で、内閣支持率が急落したことが判明した。

10日と11日に行われた朝日新聞の電話による調査では、支持41%不支持47%となり、前回の支持47%不支持38%を逆転する結果となっている。

また、9日から11日に行われたNHKの世論調査では、支持40%不支持40%となり、これも不支持が前回を12ポイント上回っている。

この内閣支持率の急落は、9月8日に行われた「国葬(岸田首相の説明によれば国葬儀)」についての国会閉会中審議と、その夕方に自民党が発表した「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民党国会議員の接点に関する調査結果」がもたらしたものだととらえて間違いないだろう。

議論を封じた閉会中審議

今回行われた国会閉会中審議は岸田首相が出席して「国葬(儀)」を行う理由を説明するというものでNHKでも中継されたが、結局は「国葬について規定した法律はないが、閣議決定に従い内閣府設置法に基づいて行う」というこれまでの説明を繰り返すだけで、議論はかみ合わず、まったく新味のないものだった。

ちなみに政府が国葬(儀)執行の根拠としている内閣府設置法の当該条文は、大喪の礼など他の法律で定められた儀式を内閣府が執り行うことに関する法律であり、内閣府が独自に儀式を定め行うことを許すものではないので、この説明自体が破綻していることは明らかだ。

閉会中審議で目立ったのは、野党の質問が安倍元首相と旧統一教会の関係に及ぶと、議長が「議題とは関係がないので総理は答えなくていい」とあらかじめ答弁を封じ、岸田首相もそのことには言及しない、というやりとりだった。

自民党は旧統一教会とのかかわりをこれから正していく、と言うが、旧統一教会と深い関わりがあったことが明らかになっている安倍元首相に国葬(儀)がふさわしいのか、実際に国葬(儀)が行われた場合に旧統一教会の宣伝に使われる恐れはないのか、について議論する意志はまったくないことが明白になった。

自民党の調査は不十分

同じ8日の夕方に自民党が発表した「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民党国会議員の接点に関する調査結果」では、所属国会議員379人のうち197人が旧統一教会と接点があったとされたが、発表直後から次々と漏れが指摘されている。

発表前から「亡くなった安倍元首相については調査しないのか」「現在衆議院議長として党籍を離れている細田博之議員が含まれていないのはおかしい」「議員の自主性に任せるアンケート形式では実態は明らかにならないだろう」と批判が出ていたが、そのとおりのものになったと言えるだろう。

旧統一教会の大会にビデオメッセージを寄せた故・安倍晋三議員、教団の内部資料で「参議院選挙でございますが、山谷えり子先生の必勝のためご尽力宜しくお願いいたします」とされていた山谷えり子議員、韓鶴子教団総裁にマザームーンと呼びかけた山本朋広議員をはじめ、明らかにされるべき点はまだまだ残っている。

票田としては10万票にも満たないと言われるこのカルト教団が、自民党政権にどれだけ食い込みどれほどの影響を与えていたか、何がそれを許したのか、今後さらなる検証が進むことを期待したい。