副業300万円問題

  1. 雑所得扱いは不利
  2. 報道とパブコメが有効に働いた
  3. 国会と報道は行政府のチェック機関

雑所得扱いは不利

副業300万円問題が先週後半から話題になっている。

これは国税庁が8月に公表した「年300万円以下の副業収入は原則として雑所得」とする通達案のことで、公表直後からネットではかなり反対の声が上がっていた。

政府がこれまで行ってきた副業奨励の流れに逆行するもので、実際に副業を始めている人、これから起業を考えている人にとっては切実な問題だ。

その後、これに対するパブリックコメントを募集したところ、反対意見が通常の70倍殺到したという。

この反応を受けて、国税庁は基準を大幅に変更し、収入額ではなく、帳簿の有無を重視する方向に舵を切るようだ。

報道とパブコメが有効に働いた

これまで、広く影響を与える問題でも大きく報道されるのはパブコメが終わった後となる場合が多かったように思う。

だが、今回はパブリックコメント(パブコメ)が行われる前から通達案について報道され、結果としてパブコメが有効に働いた事例だと言えよう。

これだけでなく、いま注目されている問題としてはたとえば、税の専門家である税理士の団体からも疑義が出されているインボイス制度導入がある。

また、にわかに浮上した健康保険証の廃止についても、マイナンバーカードで統一した場合の不都合がいくつも指摘されている。

これらについても、こうした国民の声が生かされる流れになってくれたらと思う。

国会と報道は行政府のチェック機関

政府は税をどこからどのように徴収し、どこにどれだけ使うかを決めて実行する役割を担っている。

その予算を検討し、決算をチェックし、政府のやりかたに問題がないかどうかを調べるのも立法府である国会の役割だ。

以前は国会が始まればNHKがずっと中継をしていたが、最近は関心の高い問題でさえなぜか放送しないことがある。

国会で何が議論されているのか、日頃から報道機関がもっとしっかり報道してくれたらと感じるが、そのためには私たちも関心をもってそれを見守り、声を上げていくことが重要だと改めて思った。