来年から給料がデジタルマネーで支払われる?

  1. 1ドル149円台に
  2. デジタルマネーの普及率は
  3. 本末転倒では?

1ドル149円台に

為替はここ2週間ほどでまた円安に振れ、32年ぶりに149円台に乗り、そろそろ150円に到達するのではないかという勢いだ。

政府は円安に大きく振れるとドル売り介入をしているが、不可解なことになぜか平行して円安容認ととれる発言を繰り返している。その意図はいったいどこにあるのだろうか。

お金といえば、9月から募集をしているあるパブコメの締切りが10月21日に迫っている。

「労働基準法施行規則の一部を改正する省令案に関する御意見の募集について」という名称だが、要は、「今は労基法で賃金の支払いを現金に限っているのを~ペイなどのデジタルマネーで支払えるように法律を変えたいがどう思うか」というものだ。

デジタルマネーの普及率は

来年4月からの実施を目指して法整備をしたいということらしいが、これについて10月5日に日本労働弁護団の幹事長が反対声明を出している。

主な反対の理由としては、以下の点が挙げられている。

  1. デジタルマネーでの決済がまだ普及していない
    (2021年の資料で決済全体の1.8%、平均利用額は月2万6568円)

  2. 利用できない店舗なども多い

  3. デジタルマネーを現金化するのに手数料がかかる

  4. デジタルマネーで給与を受け取る制度を望む声はまだ多くない
    (資料として提出されたアンケート結果では、利用したい26.9%に対し、利用したくないが40.7%、給与全てをデジタルマネーアカウントに入れたいとした回答はわずか7.7%)

本末転倒では?

実際、もし明日「給料全額を~ペイで払うことにします」と言われたとしたら、戸惑いのほうが大きいように思うがどうだろうか。

税金や保険料、ローンなどの支払いはデジタルマネーでできるようになるのか、本人が亡くなった場合に家族でも引き出せるのか、雇用先がどうしてもデジタルマネーで払いたいという場合に従業員は拒否できるのか、などの疑問がすぐに浮かぶ。

なぜ突然こうした法律改正の話が出てきたのかというと、どうやら2020年7月17日に閣議決定された「成長戦略フォローアップ」でキャッシュレス決済を4割まで増やすという目標が掲げられたのをふまえ、「そうか、デジタルマネーを普及させるためには給料をデジタルマネーで支払えばいいんだ!」というねじれた発想で始まったものらしい。

先日の「紙の健康保険証を廃止しマイナンバーカードに一本化」という閣議決定でも感じたが、数字や目標だけを見て現場の状況をきちんと見ないまま拙速な判断をしているのではないかと不安に感じる。

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