教育勅語を教える幼稚園
お金と不動産に関心を持っている人なら、いま気になっているのは間違いなく、「豊中の国有地格安払下げ問題」だろう。
この問題は、国有地がほぼ10分の1の破格値で払い下げられていたというスクープから始まったが、今は同じ森友学園が経営している「教育勅語を教える」幼稚園に注目が集まり、実は園内で児童虐待まがいの行為があったことが判明して非難が広まっている。
「でも、そういう教育方針に賛同した親がこの幼稚園を選んで通わせているのでは?」という声も聞かれるが、しかし大阪市は水道の民営化さえ進めている自治体で、公立学校もどんどん統廃合しており、いまや私立の幼稚園がほとんど、という状況にまでなっているという。
通園バスがネコバスで子供が喜ぶからと近所の幼稚園に通わせてみたら、実は“愛国”“虐待”幼稚園だった、というのがおおかたの人の実情らしい。
それはさておき、土地とお金の話に戻ろう。
9割引きの土地」を生み出した算術とは
小学校建設中の土地はもともと、伊丹空港の騒音対策として公園にするからと住民が立ち退いたところで、実際に、ほぼ同じ面積の隣接地は14億2300万円で豊中市に払い下げられ、公園となっている。
この土地はまず不動産鑑定士によって時価9億5300万と評価されたが、地下埋蔵物(つまりゴミ)の撤去に8億1900万かかるとの見積りで、差額の1億3400万で売却されることになった。
だが学園側に資金がないという理由で10年間の事業用定期借地契約を結び、借地なのでゴミの撤去費用は国負担ということで1億3176万円が学園側へ支払われた。
その後2016年6月に一転して学園側が買い取りを申し出て、近畿財務局が「10回の分割払い、公共随契、買戻特約付、埋設物処理費用は買主負担」という優遇された条件付きで売却した。
つまり、9億5300万-8億1900万-1億3176万、差し引き224万円がこの土地の代金となり、9割引きどころではないことになる。
「瑞穂の國記念安倍晋三小學院」
さらに、この学校はお金に恵まれているようで、国土交通省から木造化プロジェクトで6000万の助成金(校舎は鉄骨造りだが特例として助成、金額は最終的に倍近くにふくらんでいるという)、大阪府から緑化費用として4000万円の助成金が出ている。
森友学園は、当初は土地代金もままならず、学校の設立資金もほぼゼロで、申請を出した大阪府の私学審議会で厳しい意見が続出したという。
校舎の建設には当然、億単位のお金がかかるわけだが、いったいどこの銀行がその融資をしたのかという疑問もわく。(一部では森友学園のHPに広告が出ているりそな銀行の名前が挙がっている)。
安倍昭恵総理大臣夫人が名誉校長となり(先週辞任したという)、もともとは「瑞穂の國記念安倍晋三小學院」という校名も候補に挙がっていたという森友学園、どうやらなにかかなり太いパイプを持っていそうだ。
今後の解明が待たれる。