景気はいいのか悪いのか?

  1. エンゲル係数が4年連続上昇
  2. 実質賃金は5年ぶりに増加?
  3. 景気はどこで判断するのか?

エンゲル係数が4年連続上昇

先日、2016年のエンゲル係数が25.8%と29年ぶりの高水準となったことが報じられ、話題となっている。エンゲル係数とは、家庭の消費支出全体に占める食費の比率で、生活が楽か苦しいかという判断の目安になるとされる。

第二次世界大戦敗戦直後はエンゲル係数が60%を超える状態で、まさに「食べるのがやっと」という生活だったが、そこから徐々に下がっていき、1992年に25%を割ってからは20%台前半で推移してきた。

だが、第2次安倍政権発足後の13年以降は上昇に転じ、連続4年上がっていることが明らかになっている。

実質賃金は5年ぶりに増加?

NHKのニュース番組では、「共働きや高齢者が増えたことで惣菜の利用が増えている」「食の“プチぜいたく”をする人が増えている」などを上げ、エンゲル係数の意味が以前とは違ってきて、その上昇が必ずしも生活の苦しさとは結びつかないのではないかとしている。

そういう面はゼロではないだろうが、「実感として生活が苦しくなっている」という声も根強く、統計などの数字もそれを裏付けている。

まず、1世帯当たりの消費支出は3年連続で前年割れしていて、2016年は1カ月平均24万2425円、物価変動を除いた実質で前年比1・8%減だった。一方収入面については、2016年の実質賃金は5年ぶりに増加と報じられたが、実は安倍政権4年間で3.9%も低下している。

さらに為替が円安方向に振れたことで輸入に頼る食品は値上げとなり、あわせて昨年夏の台風などで生鮮食品が値上がりしたことも数字としてはっきり出ている。

景気はどこで判断するのか?

「でも、アベノミクスで景気がいいはずだったのでは?」と思う人もいるかもしれない(この言葉自体、最近はあまり聞かなくなったが)。

「景気は上向いている」と言われてきたのに自分や自分のまわりがお金に余裕がないのは、運が悪いか努力や能力が足りないからだ、と素直に反省してきた人もいるだろう。

しかし、「景気の良し悪し」というのは、実は専門的かつ厳格な定義はないらしい。

多くの人が「景気がいい」と感じればそれが好景気で、消費が多くなり、経済がうまく回り始める、というくらいのものだという。

それならば自分の実感を頼りに、ほんとうに日本の経済状態はどうなのか、いま一度まわりを見回すことから初めてみてはどうだろう。